昔からの知恵が詰まった沖縄天然の芳香剤【ヤマクニブ―】って何?

沖縄のオジー・オバーたちであればだれでも知っている「ヤマクニブー」。実はヤマクニブーは「天然の芳香剤」といわれ、沖縄では昔から重宝されてきました。そんなヤマクニブーにはこんな秘密があります。

目次 ページガイド

独特の香りがする沖縄のヤマクニブー

沖縄では、梅雨明け直後の6月下旬から7月にかけて街で見かけるようになるのが、この不思議なドライフラワーの束です。

ヤマクニブー

これは、沖縄で「天然の芳香剤」と呼ばれているヤマクニブーというもので、スーパーではめったに売られていませんが、沖縄の昔ながらの市場では、1年に1度必ずこの不思議なドライフラワーの束が店頭に並びます。

なので、この独特のドライフラワーを見ると「ヤマクニブーの季節か・・・」と思う地元の人も多いです。

とはいえ・・・見た目は写真のままなので、観賞用として売られているとは思えません。でもなぜかおじいちゃん・おばあちゃん世代の間では、未だに人気があるヤマクニブー。

その理由は、ヤマクニブーは「虫よけ効果」としての効果もあるといわれているため、高温多湿の沖縄では昔から重宝されているのだそうです。

使い方の基本は「吊るす」

ヤマクニブーは、店頭で販売する時も実際に使う時も、基本の使い方は「吊るす」です。

ヤマクニブー

一束600円前後が相場ですが、ヤマクニブーの虫よけ効果は絶大なので3束セットで販売するのが地元では一般的です。(ちなみにこの写真で1束に見える量が「3束1セット」の量です。)

そもそもヤマクニブーは「モロコシ草」のことで、沖縄では海岸付近に自生しています。

黄色いカワイイ花が咲き、花が散ると白っぽい丸い実をつけます。この、白い実を付けた段階で収穫し、束にして乾燥させると、沖縄の天然芳香剤であるヤマクニブーが出来上がります。

エミリー

ちなみにヤマクニブーは、サクラソウ科オカトラノオ属の花で、沖縄以外でも広島県以西の地域であれば見ることが出来ます。

昔は遊郭の遊女たちに重宝されていたヤマクニブー

遊郭

沖縄のオジー・オバーたちの間では天然の虫よけ材として使うことが多いヤマクニブーですが、香水がなかった時代にはその名の通り「芳香剤」として使っていたそうです。

琉球王朝時代には、すでに芳香剤としてヤマクニブーが使われていて、衣装箱の中に入れて使っていたという記録もあります。

確かに、衣装箱に入れておけば「虫よけ&芳香剤」となるので一石二鳥だったことでしょう。

遊女

ちなみに、現代の「香水」のような役割としてヤマクニブーを利用していたのは、遊郭の遊女たちでした。

那覇市の辻(つじ)という場所は、その昔は遊郭街として知られていた場所ですが、辻の遊女たちの間では着物にヤマクニブーの香りをつけるのが人気だったといいます。

確かに、日本でも着物に香りをつけて楽しむということはよくあります。この習慣は平安時代にはすでにあり、着物の下で香を焚き香りを着物につけるのが平安貴族たちの間で人気でした。

なにしろ・・・平安貴族の世界では男女が直接顔を見て接する機会が少なかったため、着物から漂う香りも異性へのアピールポイントとされていました。

エミリー

つまり・・・辻の遊女たちも、吉原の遊女たちも…香りの良さがセンスの良さとみなされモテたというわけです。

ちょっとしたひと工夫で手軽に使えるヤマクニブー

そんなヤマクニブーには・・・ちょっとした問題があります。

実は丸い形をした部分は、しばらくすると弾けて中身が飛び散ってしまいます。

白い実

そのため、香りそのものは場所を選ばないのですが、実や葉っぱが落ちて掃除が大変になるため…吊るす場所を選んでしまうのです。

その話を、ヤマクニブーを売っている市場のお母さんに聞いたところ、「ネットに入れて保存しとくといいんだよ」と教えてくれました。

ネット入りヤマクニブー

実際にネットに入れて販売しているお店もあり、これだと強い見た目のインパクトが一瞬で消えます。

ただし・・・お店でこのような状態で売るには手間がかかるらしく、紐で縛って束ねただけの状態よりも値段は若干高くなるのだといいます。

とはいえ、こんな便利な方法さえ分かれば、意外とアレンジは出来ます。

お気に入りのネットを探して、ヤマクニブーの実や葉っぱを入れておけば、タンスや衣装ケースの中に入れて虫よけにすることもできますし、クローゼットの中に吊り下げていても服にヤマクニブーがついてしまう心配もありません。

【まとめ】沖縄のヤマクニブーが天然の芳香剤というのは本当だった!

ドライフラワー

ヤマクニブーが何者なのかが分かれば、あの独特の香りも意外と手軽に楽しめます。

ただ、ヤマクニブーそのものを知る人もだんだん少なくなってきているうえに、実際にヤマクニブーを作っている人も減っています。

もしも、街でヤマクニブーを見かけたら、見た目のインパクトの強さに負けずに勇気をもって香りをかいでみてくださいね!

エミリー

ヤマクニブーの香りは確かに独特ですが、決して見た目のような強烈な臭いではありません。意外とあなたもヤマクニブーの香りの虜になるかもしれませんよ!


ABOUTこの記事をかいた人

広島から沖縄に移住してきたエミリです♪憧れの沖縄での生活を活かして沖縄の移住や文化について体験談を元にお伝え出来ればと思います。その他にも沖縄に関する様々な情報を発信していきます!