観光客が国内外から多くやってくる沖縄。そんな沖縄だからこそ、ウェルカムンチュとして知っておきたいのが、社会の一員である「補助犬」のこと。彼らがどんな存在でどう接するべきなのか、補助犬の世界を解説!
補助犬ってどれくらいいるの?
「補助犬」とは、身体が不自由な方の生活をサポートしてくれる犬たちのことです。
補助犬には様々な種類があり、どのような生活サポートをするのかによって盲導犬、介助犬、聴導犬に分かれています。つまり補助犬とは「障害がある方の生活サポートをする犬たちの総称」となります。
そんな補助犬ですが、沖縄で平成30年12月時点で実働しているのは全部で9頭。内訳としては盲導犬が7頭、介助犬が1頭、聴導犬が1頭です。
この数が多いか少ないかについては判断が難しいところです。
補助犬の中でも最も数が多いのは盲導犬で、全国で941頭が実働しています。最も数が多いのは東京都の103頭ですが、最も数が少ないのは徳島県・長崎県の3頭なのだそう・・・。
ただ補助犬の先進国といわれているアメリカを見てみると、実働している補助犬が約17,000頭います。
つまり国内外から多くの観光客がやってくる沖縄では、「日本で補助犬が身近な存在でなくても、海外からやってくる補助犬と接することがあるかもしれない」ということ。
あなたは補助犬のこと、どこまで知っている?
沖縄県内ではまだまだ補助犬の数は少なく、直接補助犬に接したことがある人の方が圧倒的に少ないです。
そこで、まずはあなたが補助犬についてどこまで知っているのかをチェックしてみましょう。
Q1. 補助犬は信号機の赤と青を判断できる?
答えは「正確に色を識別できない」です。
色を識別するには視神経が必要なのですが、犬の視神経は17万本と人間の約1/7しかありません。そのため信号の色を正確に識別することは補助犬にはできません。
Q2. 補助犬はレストランや食堂に一緒に行くことが出来る?
答えは「YES」です。
平成15年に民間・公共施設、公共交通施設に補助犬同伴で利用が出来るように義務化されたため、補助犬が一緒でもレストランや食堂に入店することはできます。
ただし、入店が拒否されることもあります。補助犬の同行が認められるのは「使用者本人(または補助犬)の許可証や健康管理手帳を携帯している場合」とされています。
つまり、使用者がこうした義務を果たしていない場合は、レストランや食堂の入店を断られることもあります。
Q3. 補助犬とペットはどこで見分ける?
答えは「ハーネスの有無」です。補助犬の場合はハーネスと呼ばれる銅輪がつけられています。
ハーネスには介助の内容によっても色分けされていますが、それ以外にも補助犬であることを表すケープを身に着けています。
ケープの色やデザインは指定法人によって違いがありますが、主に「介助犬(または「介助」)」と書かれています。
盲導犬ってどんなことをするの?
盲導犬は、使用者に障害物や段差、曲がり角などを教えるのが仕事です。
使用者の道案内が仕事ではなく、あくまでも目の不自由な人の外出をサポートするのが仕事です。
目的地に行くには使用者が頭の中で地図を把握しておく必要があります。ですから盲導犬の使用者は頭の中に思い描いた地図に従って盲導犬に指示を出しながら目的地を目指します。
介助犬ってどんなことをするの?
介助犬は、手・足が不自由な人の日常動作をサポートするのが主な仕事です。
脱衣やドアの開閉の手伝いなども行いますが、最も重要といわれているのが緊急時の連絡手段の確保です。
そのため、使用者に緊急事態が起こった場合「人を呼びに行く」「携帯電話をとってくる」などが最も重要な任務です。
聴導犬ってどんなことをするの?
聴導犬は、使用者にとって必要な音が鳴った時に知らせるのが主な仕事です。
そのため、他の補助犬が「使用者の指示によって行動する」に対して、聴導犬は「使用者に必要な音に対して反応し、そのことを使用者に伝える」となります。
街や職場などで補助犬に出会ったらどう対応すればいい?
街や職場で補助犬と出会った場合、基本は「温かく見守る」のが正しい対応です。
街や職場で出会うということは、その補助犬は「只今お仕事中」ということ。そのため、介助犬であることを知らせるハーネスとケープを身に着けているはずです。
このような状態のときの補助犬は、使用者のサポートをするために一生懸命集中しています。
ですから、補助犬に話しかけたり目を見つめることはNG。もちろん食べ物を与えることや口笛を吹くことも、補助犬の気をそらす原因になってしまうのでNGです。
声をかけるのは補助犬ではなく使用者
旅行先は、日常生活の行動範囲とは全く異なります。そのため使用者が判断に迷ってしまうこともあります。
このような場合は、補助犬ではなく使用者に対して声をかけます。声をかける時には「何かお手伝いしましょうか?」の一言で大丈夫です。
【まとめ】ウェルカムンチュとしてできることはたくさんある!
まだまだ、日本国内で実働している補助犬の数が少ないのが現状ですから、実際に補助犬に出会う確率は低いといえるかもしれません。
でも、沖縄を訪れる全ての人が笑顔で過ごすことが出来るために、沖縄に住む私たちが出来ることはたくさんあります。
たとえば「スーパーなどの障害者等用駐車スペースに車を止めない」「路上駐車をしない」「点字ブロックの上に物を置かない」などは、誰にでもすぐに始められること。
誰にでもできる、こうした小さな出来事が、補助犬のサポートを必要としている人の安全と笑顔を作ることにつながるのです。
だからこそ、ウェルカムンチュとしては「介護が必要な人に対するサポートだけでなく、社会の一員である補助犬のことについても知っておかないといけない」ということなのです。