沖縄は文化や環境の違いもあり、子育てに対する考え方も本土とやや違います。でも、沖縄で子育てをするなら…こうした違いも理解は必要。そこで今回は、現在子育て中の私が移住者目線で沖縄の小学校事情を紹介します。
沖縄の公立小学校には敷地内に公立幼稚園がある
沖縄の公立小学校には、敷地内に公立幼稚園が併設されていることが多いです。
実際に我が家の子供が通う那覇市内の公立小学校も、敷地内に公立幼稚園があります。
沖縄ではこうした併設幼稚園が昔から当たり前にあるそうで、そのこと自体に疑問を持つ人はほとんどいませんが、移住組の私からするとビックリな事実でした。
そもそも、沖縄がこのようなシステムになったのは、アメリカのプレスクールの影響なのだといいます。
日本でプレスクールというと「慣らし保育」とか「英語を学ぶための保育施設」というイメージが強いですが、アメリカのプレスクールは「小学校に上がる準備のための施設」という意味が強いです。
沖縄は、アメリカ統治時代を経て今に至るので、アメリカのプレスクールシステムが名残として小学校の敷地内に幼稚園が併設されているのが多いのです。
このような沖縄独特の幼稚園システムのおかげで、幼稚園と小学校の交流は頻繁に行われています。
ちなみに、うちの子が通う小学校でも運動会や学芸発表会などは併設する幼稚園と合同ですし、卒園の時期が近くなると年長クラスの園児が小学校訪問にやってきます。
小学校1年生でも園児から「お兄ちゃん、お姉ちゃん」と呼ばれると誇らしく思うようで、わが子もとても喜んでいましたし、交流を通して子供が成長していていくのを見られるので保護者にとっても良い体験です。
先生でも苗字ではなく名前で呼ぶ
沖縄で名前を呼ぶときは、苗字ではなくファーストネームを使うのが基本です。それは、小学校の中でも同じです。
しかも、生徒同士だけに限らず、先生が生徒を呼ぶときも…、逆に生徒が先生を呼ぶときもファーストネームで呼びます。
なので「蓮さん、ちゃんと前を見ましょうね」とか「凛さん、宿題のプリントを集めてきてください」のような会話は授業の中でも日常茶飯事です。
本土出身の私からすれば、このこと自体がとてもビックリでした。
子供が先生の名前を「みさき先生がね?」とか「今度の担任の先生は健太郎先生だよ」と自然に口にするのも、最初は違和感がありました。
確かに、沖縄の苗字の種類は本土と比べると少ないので、1つのクラスに同じ苗字の生徒が何人もいます。
そう考えれば、ファーストネームで呼ぶことも理にかなっているのですが、ファーストネームで呼ぶことに特別な感情を持っている本土出身者にとってはやはり抵抗がありました。
ただし、これも時間とともに慣れていけば気にならなくなりますし、職場やママ友との間でもファーストネームで呼ぶ事が多いので「まずは慣れろ」ということでしょうね。
「起立、礼、はじめます」ではなく「正座、礼、はじめます」
子どもの初めての授業参観の時にビックリしたのが、授業の初めに「正座!」といったことです。
でも「正座」の号令があっても、床の上で足をそろえて座るわけではありません。椅子に座ったままでも「正座」といいます。
そもそも授業の初めに行う号令といえば「起立、礼」が一般的ですよね?
ところが沖縄では「正座、礼」が常識なのです。
うちの子に聞いてみたところ、正座とは「椅子に座って手を動かさないこと」らしく、わかりやすく訳してみると「姿勢を正して、礼」と同じらしいのです。
言葉の使い方の違いといえばそれまでなのですが、こうしたことは沖縄の小学校ではよく出てきます。
その度に、いちいち考えていても仕方がないので、こういう時には深く考えずに「沖縄ではこんな風に言うんだな?」とサラッと流すのが一番です。
「式服で」といわれたら白いシャツと黒いズボン・スカート
小学校の学校だよりで時々見かけるのが「式服で登校」の文字です。
当初私は、「式服」という意味が全く分からなかったのですが、沖縄出身の主人にきくと「黒いズボン(スカート)に白いシャツのことだよ」といいます。
なぜ、こうした服装を式服と呼ぶのかわかりませんが、式服の指定があるのは始業式や終業式のような学校行事の時なので、「式に出席する時の礼服」という事のようです。
ただし、式服には「こうでなければいけない」というものはなく、さらに制服のように指定されたものもありません。
唯一の決まりは「白いシャツと黒いズボンまたはスカート」なので、これ以外については自由です。
一応、無地であることが望ましいようですが、襟にフリルがついていても構いませんし、半袖・長袖の指定もありません。
デザインも自由なので、フリルスカートでも良いですし、1年生の場合はワンピースを着ていることもあります。
ただし、式服に慣れていない移住者にとっては「自由にどうぞ」が一番厄介ですよね?
そういう時には、地元ショッピングセンターの子供服売り場に「式服コーナー」があるので、そこに並んでいるものから選ぶと良いです。
授業参観は普段着プラスα程度が無難
小学校の授業参観となれば「父親ならスーツにネクタイ、母親もそれなりにきちんとした服装で」が一般的ですよね?
育児雑誌の中を見ると「派手になり過ぎたらNG」とか「子供より目立つ服装はダメ」などいろいろな話を耳にしますが、沖縄の場合はこうした一般論をうのみにすると恥ずかしい思いをします。
もちろん、地域や学校の校風によって保護者の考え方の違いはありますが、公立小学校では普段着以上の服装をする方がかえって目立ちます。
父親がスーツにネクタイ姿で来ると「仕事の途中で見に来たのかしら?」と思われますし、母親がツーピースで登場すると教室の中でかなりうきます。
何しろ、ほとんどの保護者は普段着のまま授業参観に来ますし、若いお母さんたちだと露出の高い服や帽子をかぶったまま教室に入ってきます。
これがいいかどうかという問題はさておき、沖縄では子供の授業参観は「家族みんなで見て楽しむもの」と考えています。
なので、日曜参観になるとおじいちゃん・おばあちゃんも含め一家そろって見学に来ますし、平日は「家事の合間にちょっと見に来た」「仕事を早退してそのまま来た」という感じの保護者が多いです。
だから、服装も授業参観だからと身構えている人はいません。
そういう点でいえば気楽ですが、かえって何を着ていけばいいかわからなくなります。
そういう時は普段着プラスαを心がけるのがベスト!それ以上を目指すと目立ってしまうので、いかに普通を目指すかが沖縄の授業参観ファッションのコツです。
【まとめ】沖縄の小学校は馴染むより慣れろ!
独特の文化や子育て論がある沖縄では、本土の小学校では考えられないようなこともたくさんあります。
もちろん、最初にこうしたことに出会うと戸惑いが大きいのですが、そこで身構えてしまうとかえって疲れてしまいます。
なので、「早く馴染まなくちゃ」と思う気持ちよりも、「失敗したっていいじゃない?そのうち慣れるでしょ?」と気楽に考えるのがおすすめです。
それに子どもの小学校生活を通して沖縄のことを知ることも多いです。
せっかくの沖縄移住なのですから、子供と一緒に親も成長する気持ちでいるのが一番ですよ。
沖縄は色々とゆるい部分が多いので、気を張りすぎると疲れてしまいます。せっかく沖縄に移住したのであれば、のんびりと気楽にいきましょう!
うちの子の式服も地元スーパーの式服コーナーでいつも揃えていますし、サイズバリエーションも豊富なので体が大きくても見つかります。