テレビで活躍している沖縄県出身の有名人達・・・挙げてみると沢山の方がいらっしゃいますよね!本名で活動している沖縄出身の芸能人の名前を聞くと、聞き慣れない名字ばかりで驚かれる方も多いのではないでしょうか?そんな沖縄県の人たちの名字の成り立ちや、難しい沖縄の名字の読み方などをご紹介していきたいと思います!
読めない!?沖縄の人の名字
「安谷屋」「當銘」「仲村渠」「平安名」「阿波根」・・・
…こういった名字、あなたは正確に読めますか?これらの名字をもつ人はほぼ沖縄の人たちです。
沖縄県は日本の中でも有数の変わった地名がかなり多い場所ですが、さらに変わった名字の人も多いところなんですよ。
何も知らずに沖縄へ移住すると、現地の人たちとの交流で骨が折れてしまうようなことも想像できます。では、どうして沖縄には変わった名字の人が多いのでしょうか。
沖縄の変わった名字の由来
沖縄県では、以前「琉球王国」だった時代には名字と名前という形ではありませんでした。
姓(氏)+諱(いみな)+家名+称号+名乗という構成で、名前としていたそうです。ちなみに、諱(いみな)とは・・・ 本名の事です。
たとえば、1600年代に琉球王国の政治家だった向象賢・羽地按司朝秀という人物名を分解してみてみましょう!
琉球王国時代、琉球の王族や士族の人たちはこのようにたくさんの名前をもって暮らしていたんです。
そして、薩摩藩の人々による侵攻が始まると、日本風の姓を改めること・当て字でも良いので名前を変えることを命じられました。たとえば「前田」という名前が「真栄田」というふうになるなど、聞くと日本のどこにでもるような名前でも一見変わったように見えるのは、このせいなんです。
廃藩置県によって薩摩の人たちの影響がなくなったあと、沖縄県の庶民も名字を使うことができるようになりました。多くの場合、住んでいた地域などの地名などから名字をとってそれぞれつけていき、さらに士族の人の場合だと家名がそのまま名字になりました。
沖縄でメジャーな名字は?
沖縄の名字について歴史がわかったところで、まずは沖縄でメジャーな名字から見ていきましょう。
- 1位:比嘉(ひが)
- 2位:金城(きんじょう)
- 3位:大城(おおしろ)
- 4位:宮城(みやぎ)
- 5位:上原(うえはら)
- 6位:新垣(あらかき・あらがき・しんがき)
- 7位:島袋(しまぶくろ・しまぶく)
- 8位・平良(たいら)
- 9位:玉城(たまき・たましろ)
- 10位:山城(やましろ)
これらが沖縄で多い名字のベスト10です。
お気づきかと思いますが、沖縄で多い名字としては「城」がつく名字。沖縄には琉球時代の前に「グスク時代」という時代があり、これはお城のことを指す城(ぐすく)と読みます。
そのため、グスク時代の城塞や拝所として使われていたお城が沖縄県内にはたくさんあり、この地名からさまざまな名前が取られていきました。
また、沖縄では地名や方言によって「城」の読み方が違ってくるので、「城…しろ・ぎ・じょう」など読み方が多彩。城がつく名字でも、バリエーション豊富なんですね。
同じ漢字でも読みが違う!?ややこしい沖縄の名字
以下のように、沖縄には同じ漢字であっても違う読み方をする名字も多く存在します。
- 新城(しんじょう・あらしろ)
- 玉城(たまき・たましろ)
- 川平(かわひら・かびら)
- 比屋根(ひやごん・ひやね)
- 東風平(こちんだ・こちひら)
- 喜友名(きゆな・きゆうな)
- 新垣(あらかき・あらがき・しんがき) etc・・・
沖縄で生まれ育った人でも、初めてお会いする方が上記のような名字だと、どのように読んだらいいのか困惑するほどです
「新垣(あらかき)さん」と呼びかけて、「あら≪が≫き です!」と強く言い返されることもあるので、初めて会う方には名字の読み方を確認を!
誰でも名前を間違えて覚えられると、いい気はしないものです。読み方が難しいからこそ、しっかりと確認を!
地名と同じ漢字でも名字になると読み方が変わる!?
地名と名字が同じ漢字の方が多くいらっしゃいますが、中には地名と名字の読みが、全く別物になってしまうものもあります。例えば・・・
- 浦添市 城間
城間という漢字は地名だと「ぐすくま」と読み、名字だと「しろま」と読みます。
- 那覇市 金城
沖縄でメジャーな名字ランキング2位の金城は、地名になると「かなぐすく」、名字だと「きんじょう」と読みます。ちなみに、首里城近辺には「金城町(きんじょうちょう)」もあります!
- 糸満市 兼城
兼城は地名だと「かねぐすく」、名字だと「かねしろ」と呼ぶことが多いです。
- 浦添市 勢理客
勢理客は地名だと「じっちゃく」、名字だと「せりきゃく」と呼ぶことが多いです。
上記のように、地名と名字では読みが変わってしまうものが、他にも多く存在しますので注意してくださいね!
読めない…沖縄の変わった名字
もっとも多いのは先ほども述べたとおり「比嘉(ひが)」さんですが、次にあげるこれらの名字・・・あなたは読めるでしょうか!?
沖縄の名字いくつ読めるかな?
- 喜屋武(きゃん)
バンド・ゴールデンボンバーのメンバーである喜屋武豊さんが喜屋武という名字を使ったことで少しだけ知名度がアップしました。ですが本人は東京都出身です。
- 湧稲国(わきなぐに)
パソコンの漢字変換で一発で出てこない名前です。沖縄に住んでいても、あまり会う事のない名字ですがれっきとした沖縄の名字なんだそうです。
- 仲村渠(なかんだかり)
琉球語の読みのままの名字となっています。仲村の後に渠を付けるだけで、ナカムラからナカンダカリになるのだから不思議ですよね。
- 東江(あがりえ)
こちらも日本語読みではなく、琉球語での名前です。沖縄には東江メガネ(あがりえメガネ)という大きな眼鏡屋さん(企業)があります。
- 饒波(のは)
沖縄県豊見城市と、大宜味村に饒波という地名がある事から、地名が名字になったパターンだと考えられます。
- 饒平名(よへな)
沖縄県名護市に饒平名(よへな)という地名がある事から、地名が名字になったパターンだと考えられます。
- 平安名(へんな)
平安名と書いて「へんな」と読みます。名の部分を山に置き換えると、「平安山(へんざん)」。座という字に置き換えると「平安座(へんざ)」という名字に変わります!
- 瑞慶覧(ずけらん)
名字だけで45画もあります。(笑)沖縄県の北中城村(きたなかぐすくそん)に瑞慶覧という地名があるので、地名から来た名字のパターンと言えます。瑞慶覧さんは、結構多くいらっしゃるので覚えておくと便利です。
- 阿波根(あはごん)
沖縄県糸満市に阿波根という地名があるので、地名から来た名字のパターンと言えます。
- 當間(とうま)
「當」は「当」の旧漢字です。そのため、「当間」と「當間」、どちらも旧漢字で構成されている「當眞」の3パターンの名字が存在します。旧漢字の「當」を使用した名字は沖縄ではメジャーで、そのほかにも「當銘(とうめ)」「當山(とうやま)」などがあります。
- 栄門(えいもん)
あまり多くはありませんが、栄門さんという方もいらっしゃいます。沖縄では、名字に”門”という漢字が含まれているのも多く、栄門さんの他にも「前伊礼門(まえいれいじょう)」「下門(しもじょう)」「伊礼門(いれいじょう)」などがあります。
- 志堅原(しけんばる)
沖縄では「原」という漢字を”ばる”と読むことが多くあります。地名も同様に「原」という漢字は「ばる」と読むことが多いので覚えておいてくださいね!
- 安谷屋(あだにや)
沖縄県の北中城村(きたなかぐすくそん)に安谷屋という地名があるので、地名から来た名字のパターンと言えます。安谷屋さんは沖縄ではよく見かける名字です。高確率で「あだにー」という愛称で呼ばれるようになります。(笑)
- 玉栄(たまえ)
名前のような名字です。こちらも沖縄ではよく見かける名字です。
- 根路銘(ねろめ)
琉球読みで「ニルミ」だったものが「ねろめ」に変化したものだそうです。
- 嘉手苅(かでかる)
沖縄県中頭郡西原町に嘉手苅という地名があることから、地名から名字にあてられたパターンです。
- 目取真(めどるま)
目取真とは、琉球のころの地名から来ているそうです。旧漢字の「目取眞」さんもいらっしゃいます。
- 東風平(こちんだ・こちひら)
現在は八重瀬町に変わってしまいましたが、以前は東風平町という町がありました。東風平と書いて「こちんだ」「こちひら」の二つの読み方があるので注意しましょう!
- 東崎(こちざき)
沖縄県中頭郡西原町にある地名ですが、地名としては「あがりざき」と読みます。東崎という名字はあまり多くはありません。
- 新地(みいじ)
沖縄でも少ない名字で「しんち」さんと呼ばれ、「みいじ」と訂正してる様子を見る事があります。
- 我如古(がねこ)
宜野湾市の地名に我如古という場所があるので、地名から名字にあてられたパターンでしょう。
- 幸喜(こうき)
名前のような名字で、なんだか幸せに満ち溢れた人生が送れそうな名字です。こちらも沖縄ではよく見かける名字です。
このように、たくさんの変わった名字の人がいる沖縄。沖縄移住者としては移住前にちょっと知っておくと、現地の人との交流がしやすくなるのではないでしょうか?
向(姓)+象賢(諱)+羽地(家名)+按司(称号もしくは位)+朝秀(名乗)ということになります。