沖縄の人たちが標準語として使っている言葉の中には、本土の方が「ん?」と首をかしげてしまったり、本土の方に誤解を招いしてしまうような言葉があります。どんな言葉があるのか見ていきましょう!
標準語だと勘違い!?沖縄で普通に使われている言葉
沖縄には、うちなーぐちを標準語だと勘違いして使っている方が結構いらっしゃいます。そんな言葉に振り回されている本土出身の方も多いのではないでしょうか?
沖縄の方がよく口にするややこしい日本語を少しだけ抜粋してお話ししたいと思います。これから転勤で沖縄に住まれる方や、移住を考えている方は知っておいたほうが良い言葉もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
少し変!?沖縄の標準語!
うちなーんちゅが、標準語だと思って使っている言葉には、意味がおかしい言葉や不思議な言葉が沢山あります。正直、挙げるときりが無いほどあるんです。
そんな中でも「特におかしい!」「県外の方に知っておいてもらわないと勘違いさせてしまう!」というものをご紹介していきたいと思います。
ひざまずき
まずは、「ひざまずき」。これは標準語では「正座」のことです。
ウチナンチュには「ひざまずき」と言えば、ほとんど通じちゃいます。
特に、若い子たちは「ひざまずき」をウチナーグチだと知らない子も多いので、教えてあげると「え!?知らなかった!本土ではなんていうの?」という反応に・・・。「正座だよ」と教えると「あぁ~~!」と納得します。「ひざまずき=正座」である事を知らない子達も多いのです。
学校での号令が「正座・・・礼!」
担任の先生にもよりますが、沖縄の小学校で授業が始まる前には「正座!礼!」と号令がけをして授業を始めるところが多くあります。本土の学校だと、 「起立!礼!着席!」が普通なのでしょうか・・・?
学生の時代は、それが普通で何の疑問もいだかなかったのですが、今考えてみると「正座・・・礼!」って・・・とてもおかしい。。
「正座・・・礼!」と号令がかかったからと言って、椅子の上で正座をするわけではありません。普通に椅子に座っている状態での号令なんです。
号令掛けでの「正座」は、「きちんと姿勢を正してください!」いう意味合いで使われているんですよ。
「服がキツイ」ではなく「服が狭い!」という
皆さんは、洋服を試着した際に服が小さかったり、久々に着る服がきつくなっていた時は、どのように表現しますか?
ウチナンチュは「服が小さい(きつい)」という事を「狭い!」と表現する方が多くいます。もちろん、服だけではなく靴が小さかったり、靴下がきつい場合も「狭い」と表現します。
ですが、不思議なことに・・・服が大きかった場合は「大きい」と言います。
狭いの反対語は広いなので、「服が狭い!」と表現するのであれば、服が大きい場合は「広い」と表現しそうなところですが・・・そこはしっかりと「大きい」というあたりが「ウチナンチュの日本語はおかしいな・・・」と思う点でもあります。
自動車教習所のことを「自練(じれん)」
沖縄では自動車学校(教習所)のことを、略して「自練(じれん)」と呼んでいる方が多くいます。
「自動車学校(教習所)」という名前の中のどこにも「練」という字が入っていないのに・・・と疑問に感じていた方も多いのではないでしょうか?
実は、昔は「自動車学校(教習所)」ではなく、「自動車練習所」と呼ばれていたそうで、その頃の名残なのだそう・・・。
全国各地で、様々な呼び方がされているようで、沖縄以外では「車校」「車学」「自車校」なんて呼ばれている県もあるそうですよ。
自練は沖縄県で多く使われているので、他県の方には通じません!気を付けてくださいね♪
「〇〇しましょうね~!」は誘い言葉ではない
沖縄の人は「これから何かをします」という報告時に、多くの方が「~しましょうね!」といいます。
例えば、仕事が終わって先に帰る時は「お先に帰りましょうね~!」という方が多くいるんです。それを聞いた本土の方は、「えっ?一緒に帰るってこと???」と、悩んでしまう方も多くいるようです。
実は、この“~しましょうね”という言葉遣いは沖縄のナマリなのだそう・・・。これまた面白いことに、沖縄の人は沖縄独特な言い回しだとは知らず、全国共通語だと思っている方が多くいるんです。
「〇〇しましょうね~!」の例題
- トイレに行く
本土:「トイレに行きます」ウチナンチュ:「トイレに行ってきましょうね~」
- お皿を下げる
本土:「お皿をお下げします」ウチナンチュ:「お皿をさげましょうね~」
- 買い物に行く
本土:「買い物に行ってきます」ウチナンチュ:「買い物に行ってきましょうね~」など・・・・
- 先に帰る
本土:「お先に失礼します」ウチナンチュ:「先に帰りましょうね~」など・・・・
沖縄の人が使う「しましょうね~」を、本土の人は「一緒に〇〇しましょう」の意味合いで捉えてしまう方が多いようです。ですが、沖縄の人は「私は〇〇します」という、報告の意味合いで使っているのです。
初めて“~しましょうね”という言葉を聞いた方は、とても驚いてしまうと思います。決して「一緒にしましょう!」と誘っているわけではありませんので気を付けてくださいね!ちなみに、誘っている場合は「一緒に〇〇しませんか?」としっかり疑問形で聞いてくるのですぐに分かりますよ♪
全国共通語だと思っている沖縄の女の子は、飲み会でも何のためらいも無く「先に帰りましょうね~」と言ってしまいます。男性のみなさん「誘われた!」・・・とびっくりしないでくださいね。
加糖練乳をワシミルクという人が多い
沖縄のおじいちゃん・おばあちゃん世代の方は、缶に入った加糖練乳のことを「ワシミルク」と呼ぶ方が多くいます。おじいちゃんっこ・おばあちゃんっこだった方は、自然に今でも「ワシミルク」という言葉を使っている方も中にはいらっしゃいます。
このワシミルクの由来ですが、ネスレから発売されているEagle(イーグル)という缶入り練乳からきています。
昔はそれほど種類も多くなかった練乳ですが、最近ではチューブパックなども販売されていますよね。雪印や森永から発売されている練乳には牛の絵が描かれていたり、赤と白のカラーが使われていたりしますが、Eagle(イーグル)は練乳なのになぜかワシの絵柄なんです。そしてパッケージカラーは青と白なんです。
ネスレイーグル植物油脂入りコンデンスミルク
沖縄のおじいちゃん・おばあちゃん世代に定番の練乳「ワシミルク」です。正式名称はネスレイーグル植物油脂入りコンデンスミルク。
価格(税込)
楽天:378円 / Amazon:1,125円
※商品の価格は記事作成時点の価格です。価格は変動する事が御座いますので、実際の価格はオンラインショップの商品詳細ページでご確認下さい。
アメリカ統治時代、「コンデンス」と発音するのが難しかった沖縄の人たちが、パッケージに描かれている鷲のイラストを見て「ワシミルク」と呼ぶようになったそうです。現在でも、沖縄のスーパーなどでは、練乳ではなく「ワシミルク」と表示されているところもありますよ。
沖縄の人は加糖練乳が好きな方が多く、かき氷だけでなく・・・パン、ホットケーキ、コーヒー、泡盛と、色々なものにかけて楽しんでいます。
「だー」という行動を促す言葉
「だー」とは「どれ」という意味で使われています。例えば・・・何処か怪我をすると「だーだー、見せてごらん!」という風に使ったり、お菓子の袋が開けられないときも「だー、開けてあげるから貸してごらん!」という風に使ったりします。
「だー」とは、本土の方が「どれどれ・・・」といった感じで使う言葉と、同じように使われている言葉なのです。
筆者も小さいときから「だーだー」と言われて成長したせいか、大人になった今 子どもたちに「だーだー」と言っています。(笑)
「とー!」という制止を促す言葉
お酒を誰かが注いでくれた時に「とーとーとーとー!」や「とーー!」と言って、お酒の量を調整します。この「とーとーとー」とは、「これぐらいでいいよ!(そろそろストップ!)」という合図みたいなものです。
若い方はあまり使わない言葉ですが、親世代やおじいちゃん・おばあちゃん世代などがよく使っています。
特にお酒の席などでよく耳にする言葉なので、転勤でいらした方は知っておいたほうが良い言葉の一つです。
「バイバイ」ではなく「また後でね~!」という人が多い
会話をしていて「そろそろ解散!」となった時、あなたは去り際に何と言いますか?殆どの方が「またね」「じゃあね」「さようなら」「バイバイ」などでしょう。
沖縄の人は別れ際に「あとでね~!(あとからね~!)」という方がいるのをご存知でしょうか。別に、その後会う予定もないのだけど「あとからね~!」といって別れるんです。それに対して「なんで?後から会う約束してないよ!」と驚かれる本土の方がとても多いようです。
沖縄の人が使っている「あとからね~!」という言葉は、英語の「See you later」と同じ意味で使われている言葉なんです。
「See you later!」の「later」は、後からという意味がありますが、その「後から」というのには期限が決められておらず、後で会う人にも「See you later!」と言いますし、いつ会えるかわからない友人にも「See you later!」と使います。
「あとからね~!」という言葉は比較的、家族や親しい人との間で使われているように思います。筆者も、実家の母がお見送りしてくれる際に必ず「また後からねー!」と言って見送ってくれます。
この言葉には、「近いうちにまた会いたいです」という期待が込められているのではないでしょうか。
「あとからね~!」と言われたからといって、約束をしていなければ、その人が再び現れることはありません。待ってもやってくることはありませんのでご注意を!
「自分」という一人称が存在する
一人称を表す言葉といえば「私」「僕」「俺」などがあります。
ただし、職場などでは男女問わず「わたくし」または「私」を使うのが正しい使い方です。
ところが沖縄では一人称の表現に「自分」が加わります。友達同士の会話であればどんないい方でも構わないのですが、さすがに職場で「自分」という言い方をするのは常識から考えれば変ですよね?
でも沖縄では「自分」という表現の仕方はそれほど珍しいことではありません。しかも男女問わずよく使います。
だから、職場でも若い女子社員が
先輩、その仕事自分がやっておきます
と、声をかけてくることもよくあります。
気持ちの部分でいえば決して間違ってはいないのですが、正しい使い方としてはちょっと問題があるこの使い方…。
とはいえ、こういって声をかけてくる後輩ほど積極的に仕事をしようとする態度が見えるので、聞く側としても悪い気はしないのですけどね。
沖縄の女性は、小さいころから自分の事を名前で呼ぶ習慣があるので、自分の事を「私」と言う事に気恥ずかしさを感じる方がとても多いんです。
その為、プライベートでは自分の事を名前で呼び、職場だけ「自分」と置き換える人が多いのです。
一応、沖縄県民なりに、一人称をTPOで使い分けているんですよ!
「だーる」という言葉で会話が成立する
沖縄の方言には「だーる」という言い方があります。
「だーる」の訳し方としては「(そう)である」が一番多いのですが、実はそれだけではありません。しかも「だーる」という言葉だけで会話が成立することがあります。
例えばこうです。
- 太郎:「だーるか?」
- 次郎:「だーる!」
- 太郎:「だーるば…」
県外の方が聞くと、全く意味わかんないですよね?
「だーる=である」という意味だけではこの会話は全く成立しません。ただし「だーる」には他の意味もあります。だからこの会話を訳すとこんな感じになります。- 太郎:「それ、本当なの?」
- 次郎:「そうだよ!」
- 太郎:「マジか…」
・・・ね?ちゃんと会話になっていますよね?つまり「だーる」という言葉一つでいろんな意味になるわけです。
もちろん言い方や語尾の使い方によっても印象は変わります。
例えば、驚いた様子の「だーるば!?」だと、「マジで!?」という意味になります。また、納得する意味で使う時には「だーる、だーる(そう、そう)」と繰り返すこともあります。
ただ、もともとは「○○である」という意味で使うので、意外と他方面において使います。
さすがに「だーる」という言葉は、フランクな印象の言葉になるので、職場の上司や先輩に対して使うことはあまりありません。
とはいえ、よく使う言葉なので「ついうっかり…」ということはあります・・・。
名前呼びが多い
沖縄では学校や友人同士だけでなく、職場内でも名前呼びをする職場も多くあります。(特に県内企業が多いです)
沖縄に住んでいるとまったく疑問に思わないのですが、本土ではかなり失礼な言い方だったりします。
名前で呼び合う関係となれば「それなりに親密な関係を持っている」という意味でとらえますが、沖縄ではそのような感覚は基本的にありません。
だから職場でも下の名前で呼ぶことが多いですし、苗字で呼ぶ場合は一線引いた関係ととらえられることがあります。
沖縄移住者が沖縄の企業で働くと最初にこの名前呼び問題で戸惑いますが、「郷に入っては郷に従え!」なので思い切って名前呼びをするのがおすすめです。
ただし、沖縄の人が本土(県外)で同じことをするとかなりひかれるので、くれぐれもご注意を!
まあ、沖縄では同じ苗字の人がたくさんいますから、呼び間違えをしないという意味でも名前呼びが当たり前なのかもしれませんが…。
【番外編】沖縄の幼児は「ふん」で間を取る
沖縄の子供の話し方を聞いたことはありますか?沖縄の子供の多くが「ふん」という言葉で話の調子を取るという特徴を持っています。
「あのさー、ふん。えっとさー、ふん、滑り台でさー、ふん・・・」というように、なぜか途中・途中に「ふん」というブレイクが入るんです。
この「ふん」という言葉は、普通に話しているときはあまり出てきませんが、一生懸命 何かを伝えようと頑張って話している時に「ふん」を乱用します。「ふん」と言っている合間に次の言葉を考えているような感じなのです。
「ふん」という言葉がクセになってしまう子も多く、小学生くらいでは親に強制的に直されるので、大人になって「ふん」を連発する人はいません。なので、幼児期だけに見られる特徴の一つと言えます。
筆者も子どもの頃に「ふん」という言葉を使っていた一人です。どこで受け継がれているのか分かりませんが、今の子達もおしゃべりが出来るようになってきた頃に「ふん」という言葉を使い始めるので・・・一体どこで受け継がれているのか不思議になります。(笑)
知っている方…ご一報お待ちしております!(笑)
【まとめ】お互いに勘違いさせない・しない為の努力をしよう
ウチナーンチュ(沖縄県民)の中には、上の言葉が標準語だと勘違いしている方も、まだまだいっぱいいます。
「〇〇しましょうね~」という言葉に関しては、本土の方に対しては誘い言葉になってしまうと知っていても・・・「〇〇さぁ~」「〇〇だば~」といったものと同じように語尾のナマリの一つなのであえて直さない方もいらっしゃいます。
そういったものに関しては、本土の方が沖縄の方言の一つだと知っておく必要があります。「君から誘ってきた」「後からね!と言ったのに来なかった」などのトラブルにならないよう注意したいものですね。
沖縄の言葉や文化は、ウチナーンチュでも難しいものです。。。
筆者が小学生のときの先生からのお仕置きは「ひざまずき」が定番でした。