沖縄では、昔から親しまれている音楽や踊りなどの伝統芸能がさかんです。その中でも特に若者たちの体に組み込まれた沖縄人としての遺伝子を奮い立たせるのが「エイサー」です!
エイサーっていったい何?
沖縄県全体と、鹿児島県奄美群島において踊られる伝統芸能・エイサー。
エイサーというのは、この世に戻ってくるという祖先の霊たちを迎え、そして帰っていくときに送っていくという目的がある踊りです。時期としては旧暦のお盆、お盆には祖先の霊が戻ってくるというのは沖縄に限らず日本人にはよく知られていることですよね。
沖縄でこうして行われるエイサーというのは、若者が太鼓を持って歌い、踊りながら町を練り歩く姿で有名です。
地域ごとにエイサー団体「青年会」があり、その踊りを鑑賞する「沖縄全島エイサーまつり」は毎年多くの観光客が訪れるほど人気。息のそろった活気あるエイサーは迫力があって、沖縄でも特に大きな観光イベントとなっています。
エイサーの由来って何?
沖縄ではその昔、先祖の供養を行うときには「念仏」が唱えられていたそうです。明治ごろになるともともと貴族や王家の間で行われていた念仏が一般的に知られるようになります。
沖縄県内各地へ念仏が伝わっていくうちに、庶民は念仏に民謡を取り込んで歌うスタイルへと変わっていったそうです。
今のエイサーとはまったく違っていますが、それがエイサーの始まりなのだそうです。
「エイサー」という言葉ですが、もともと唱えられていた念仏は浄土宗系念仏歌というもの。その念仏歌に、はさまれる囃子(はやし)に「エイサー、エイサー、ヒヤルガエイサー」というフレーズがあり、そこからきていると言われています。
エイサーはどこで見られるの?
琉球王国時代、念仏歌として歌い・踊られていたエイサーですが、現在では旧盆の日に限らずエイサーを様々なところで見る事が出来ます。例えば…
- 旧盆の日の道ジュネー
- 小学校高学年の運動会の演目
- お祭りの出し物
- イベントの出し物 など・・・
沖縄の小学校では、高学年5年生~6年生になるとエイサーの演目がある学校が多い為、沖縄の人は殆どの方がエイサーを一度は踊った経験があるんです。
旧盆の日には、様々な場所で道ジュネーが見られる
エイサーは祖先の霊を送迎するためのものなので、毎年旧暦のお盆に行われます。お迎え・お送りするということで、何日かにわたって行われることが多くなってきています。
それぞれの地域で家をまわっていき、一軒一軒祖先の霊が無事にあの世に帰っていくことができるよう祈願し、エイサーを踊ります。このようにエイサーを踊りながら家をまわっていくことを「道ジュネー」といいます。
エイサーは町内会や地域の青年会がチームを作って行われます。なので、エイサーの時期が近づくと男性たちは公民館などに集まり、遅くまでエイサーの練習をする光景が見られるんです。
エイサーと言えば太鼓(パーランクーや大太鼓)を思い浮かべる方が多いようですが、道ジュネーには手踊り担当の方や、生歌を歌う地謡(じうたい)さんなんかもいるんです。どのようなメンバーで構成されているのか見ていきましょう。
エイサーの構成
- 旗頭(はたがしら)
- 3~4メートルほどの大きな旗をもち、エイサーの先頭に立つ人です。この旗にはそれぞれの地域の名前が書かれていて、もしエイサーをしている一団同士が鉢合わせになると、相手の旗とぶつけあったりより高く旗を掲げたりします。
- 太鼓打ち
- 大きなものから順に大太鼓(ウフデークー)、締め太鼓(シメデークー)、パーランクーという3種類の太鼓があります。基本的にこの太鼓を持って踊るのは男性です。
- 手踊り(男性)
- エイサーの基本とされる踊りをする男性です。太鼓を持って踊るのは、きちんとリズムや動きをつかめている人だけなんだとか。
- 手踊り(女性)
- 太鼓打ちや手踊りの男性のあとを、女性が踊りながらついていきます。地域によって扇などの道具を持って踊るんだとか。
- 地謡(じうたい)
- 一団の先頭もしくは一番後ろで三線を弾きながら歌う人です。数人で地謡をつとめるのですが、今では地謡の方の高齢化やマイク機器などの普及もあって、軽トラックの荷台などで演奏されることが多いんです。
- チャンダラー(サナジャー)
- もともとは日本の本土から伝わった念仏の芸のことです。顔を白く塗った男性が、観客を盛り上げたりする「道化」の役を演じ、さらに隊列をととのえたり道ジュネーでは案内役などをつとめます。そのため、ベテランの方がサナジャーを務めることが多いと言われています。
道ジュネーが活発に行われているのは、沖縄県の中部エリア(沖縄市・北中城村など)です。一度、道ジュネーを見てみたいと考えている方は、旧盆の時期に中部エリアで宿泊してみてくださいね!
エイサーの魅力を多くの方に知ってもらいたい
エイサーの最大の魅力といえば・・・なんといっても、その迫力!数多くの男性が隊列を組んで、太鼓を鳴らし、街を練り歩いていくその姿は沖縄の人たちを心から盛り上げてくれます。
エイサーの時期はオリオンビール片手に、太鼓の音や地謡の方の三線や歌を聴く・・・。なんともにぎやかな時期となり、とても楽しいものです。
また、各地域のエイサーの団体によって衣装や踊りが違ったり、現在は若者によってオリジナリティあふれる踊りのエイサーも。エイサーのときに演奏される曲もスタンダードなものはいくつかありますがそれぞれ違いがあり、最近ではJ-popで創作風エイサーが踊られていることもあります。
この夏は、各地域の個性が光るエイサーを見に行ってみてはいかがでしょうか?
移住者の私ですが、移住して数年が経過した頃からエイサーの音楽を聴くと「夏がきたな~」と感じるようになりました!(笑)
運動会で踊られるエイサーは、日出克さんが歌う「ミルクムナリ」という曲が定番。この曲を聞くと「ちむわさわさー(胸がウキウキ・ドキドキ)」する沖縄県民も多いんですよ。