沖縄の病院はたらいまわしが無い!?沖縄の医療環境について

沖縄へ移住するとなれば、移住先の医療環境がどれだけ整っているのかという点も気になります。沖縄で安心して住み続けるためにも、移住予定の地域の医療環境について知っておくことも必要です。

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沖縄の医療レベルは全国と比べてどうなの?

医者

沖縄県本島には、現在、那覇市内に5か所、南部エリアに7か所、中部エリアに11か所、北部エリアに2か所の救急指定病院(総合病院)があります。これだけの数字を見れば、沖縄県本島の医療環境としては整っているように思えます。

でも、県外から沖縄県へ移住した人の多くは、「沖縄の医療レベルは本土と比べると低い」と思っているようです。では、移住者のこうしたイメージは、どんなところに原因があるのでしょうか。

離島の医療設備は整ってきている

救急車

2003年から、テレビで「Dr.コトー診療所」というドラマが放映されました。このドラマは、都会から沖縄県八重山列島へやってきた医師と島の住人との交流などを描く作品でした。このこともあって、「離島=医療環境が悪い」というイメージが出来たのかもしれません。

たしかに、ドラマが放映された当時、沖縄県内の離島の多くは、ドラマのような診療所が島の住人の健康を守るしかなく、環境の改善が目下の課題となっていました。でも、こうした状況は、あくまでも過去のものです。

現在では、離島といえども、血管造影・全身CT・超音波診断装置など、一般的な総合病院としての設備が整っている病院がきちんとあります。そのため、過去には本島または本土に渡らなければ受けられなかった精密検査や手術も、住んでいる地域の総合病院で受けることが出来るようになっています。

もちろん、すべての離島がこのような環境にあるとは言い切れません。ですが、その場合でも、沖縄本島や本土の総合病院と離島病院が提携しているため、救急ヘリを運用し、迅速に対応が出来るようになっています。

未熟児の受け入れ態勢も大きく改善

未熟児

沖縄県では、未熟児の受け入れや医療環境に対して不安を感じる妊婦さんが多いというのも、問題として挙げられていました。たしかに、この問題は移住者からだけでなく、代々沖縄に住むウチナンチュの中でもささやかれていたことです。でも、この問題点も、近年改善が進んでいます。

ハイリスク妊娠や異常分娩、未熟児に対応できる医療となると、NICU(新生児集中治療室)の設置が不可欠になります。ですが、NICUを設置するとなると、高額の医療機器の設備費用が必要になるだけでなく、救急時に対応できる医療体制として産婦人科医の確保も必要となります。

これらすべてを整えなければ、NICUの設置は困難になります。それだけに都心部以外ではリスクが高く、沖縄本島北部および離島地区では、なかなか環境の整備が進まない状況が続いていました。でも、現在では、こうした問題も着々とクリアしつつあります。

2015年までに、県立中部、県立南部医療センター・こども医療センター、県立宮古、県立八重山、那覇市立、沖縄赤十字、琉球大学医学部付属にNICUが設置されており、さらに県立北部病院にも2017年には設置予定となっています。

無事に県立北部病院のNICUが開設されれば、沖縄県内でNICU設置の病院が8か所となります。さらに今後も、「これから出産・子育てを沖縄で」と考えている移住者にとって安心の医療環境が整備されていくようです。

救急医療の環境としての沖縄は国内トップレベル

救急車

救急医療の現場で問題になっているのは、受け入れ先が見つからずに起きてしまう、いわゆる「たらいまわし問題」。でも、沖縄本島に暮らしている限り、こうした問題を耳にすることはほとんどありません。

なにしろ、沖縄県は、救急受け入れ拒否が全国最下位を誇る地域です。この記録を打ち出すことが出来る背景には、本土とは異なるあることが関係しています。

本土でたらいまわし問題が起きているのには、ある理由があります。それが、「医療体制」です。それぞれの医療体制をみていきましょう。

本土の医療体制

本土では、患者の重症度に応じて受け入れが出来る病院が指定されています。ここで判断の基準として重視されるのが、患者の「重症度」です。重症度は、全部で3つに分類され、患者本人または救急隊の判断によって受診する病院が決められていきます。

とはいえ、受診が可能な病院であっても、必ずしも受け入れられるというわけではありません。そのため、受け入れを拒否されれば、また新たな病院を探さなければなりませんし、受け入れ先によっては、移動距離が遠くなることもあります。

沖縄の医療体制

沖縄は、かつて、米国の統治下にありました。そのため、アメリカの医療体制が、本土復帰以降も続けられています。このアメリカの医療体制には、本土の医療体制と大きく違う点があります。それが「ER」です。

ERは「Emergency Room」の略で、「救急治療室」という意味があります。ですから、本土の救急治療室と同じ使命をもっているのですが、患者に対する受け入れ態勢に大きな違いがあります。実はERの場合、救急初期診療を行い重症度を判断するのは、すべてER専門医です。

ですから、365日24時間、いつでも患者を受け入れます。そのため、たらいまわし問題が起こりにくい環境があるのです。

【結論】沖縄の医療環境はイメージよりもかなり良い

病院

なんだかんだといわれていますが、現状をよく見てみると、意外と充実しているのが沖縄の医療環境です。

特に、たらいまわし問題がほとんど起こらないという点に注目するならば、突然襲ってくる病気やけがのリスクが起きたときでも、迅速に処置してもらえる環境があるわけですから、本土よりも安心して暮らすことが出来るといってもよいかもしれませんね。

アン

ここ数年、旅行者や移住者が増え、病院を訪れる人はウチナンチュだけではなくなってきました。その為、より多くの患者さんに対応しようと、日々大きな病院は努力と進化を重ねています。医療面に関しては、本島から離れた小さな離島に住まない限りは、あまり問題ないので心配はないといえます。移住者である私自身も、不便・不安に感じたことはまだ一度もありませんよ。