沖縄県の特産品の一つ「パイナップル」。昔に比べると「ゴールドバレル」「サマーゴールド」と品種も増え、味や酸味のバランス、食感など・・・自分好みパイナップルを見つける事も出来るようになってきました。そんなパイナップルの選び方や保管方法、沖縄で主に流通している品種などを詳しくご紹介していきたいと思います。
沖縄の特産品の一つパイナップルが熱い!
パイナップルの収穫量日本一の沖縄県。日本産のパイナップルは殆ど沖縄県産と言われているほど、盛んに栽培されています。そんなパイナップルですが、昔と比べると品種や味など・・・様々なことに革命が起きているんです!
沖縄県で流通しているパイナップルの品種やその特徴、保管方法など、パイナップルについて深く掘り下げていってみたいと思います。
パイナップル?パインアップル?どちらが正しい?
答えから言うと、「パイナップル」「パインアップル」どちらも正しいです。
パイナップルは、英語で書くと「pineapple」となります。形が松ぼっくりのような形をしているという事から「pine(松ぼっくり)」、リンゴのように甘い香りと味がするという事から「apple(りんご)」・・・これらをつなげて名付けられたのが「pineapple」という訳なんです。
読み方に関してですが、例題でいうと「Thank You(ありがとう)」という言葉は、人によっては「サンキュー」という方もいらっしゃいますし、「テンキュー」という方もいらっしゃいますよね。これと同じく、「pineapple」を「パイナップル」と呼ぶのも、「パインアップル」と呼ぶのも発音の違いというだけの話で、どちらも間違いではありません。
パイナップルの栄養と効能について
こちらではパイナップルの栄養素と効能についてご紹介します。
パイナップルの栄養と効能
- 栄養素
- ビタミンB1・カリウム・マンガン・ブロメライン・ビタミンC・食物繊維 etc…
- 効能
- 高血圧予防・動脈硬化予防・脳梗塞予防・心筋梗塞予防・消化促進・便秘・疲労回復 etc…
パイナップルの栄養素で特に注目すべきなのは「ブロメライン」!初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか?
「ブロメライン」ですが、タンパク質を分解する酵素で、お肉を柔らかくする効果や、食後のデザートとして食べる事で腸内にあるお肉を柔らかくし、消化しやすくする効果などがあります。また、腸内の腐敗物を分解する作用もあり、消化不良や腸内ガスの発生を抑えられると言われています。
パインを食べると口が痛くなる!?
一昔、二昔前までのパインの印象と言えば・・・「美味しいけど、調子に乗って食べすぎると口の中が痛くなる」といったイメージでした。ですが、ここ数年でそのような事は殆どなくなりました。
口内を荒らす原因となっていたのは、未熟なパイナップルに含まれる「シュウ酸カルシウム」という針状の成分や、タンパク質を溶かす「ブロメライン」。この成分が悪さをするのは、パインが未熟な状態であった場合のみ。口の中が痛くなったり、痺れたりする度合が強くなるほど、パインは未熟な状態だったという事になります。
この状況を防ぐ唯一の方法は、「しっかりと熟したパイナップル」を食べるという事!最近では、しっかりと熟したパイナップルが店頭に並んでいる為、難しい事ではありませんよね。
沖縄で流通しているパイナップルの種類
沖縄県は昔からパイナップルの栽培が盛んな県です。その為、有名なものだけでもこれだけの品種があるんです!それぞれ味の特徴などを加えながら、詳しくご紹介していきたいと思います。
ゴールドバレル(タダオゴールド)
ゴールドバレルの詳細
- 正式名称:ゴールドバレル
- 別名:タダオゴールド
- 大きさ(重さ):約1.5㎏~2㎏
- 味:甘さが強く、酸味が少ない
- 収穫時期:6月中旬から7月頃
- 特徴:希少種「クリームパイン」の掛け合わせ
最近有名になりつつあるゴールドバレルという品種は、果肉が濃い黄色をしており、形状が樽のような形をしている事から「金=ゴールド、樽=バレル」と名付けられました。
希少種である「クリームパイン」と、「McGregor ST-1」という品種を掛け合わせたパインで、酸味が少なく糖度が高い、歯にかかるような繊維が少ないといった品種となっています。また、他のパインよりも実が大きめなのも特徴の一つです。
クリームパイン
クリームパインの詳細
- 正式名称:クリームパイン
- 大きさ(重さ):約1.3Kg~1.7kg
- 味:ハワイ種と同等の糖度だが酸味は控えめ
- 出荷時期:8月上旬~9月下旬
- 特徴:バニラクリームのような甘い香りと味
クリームパインは、栽培している農家が少ない為、出荷されている数が少なく・・・なかなかお目にかかることが出来ない希少種です。
ピーチパイン(ソフトタッチ)と同様、果肉が白っぽいのですが・・・大きな違いはバニラクリームのような甘い香りと味!パインなのにバニラクリームのような香りって、とても不思議です。
その甘さは折り紙つきで、「ゴールドバレル」「サマーゴールド」といった人気の品種の交配株としても使われています。
ハワイ種パイン
ハワイ種パインの詳細
- 正式名称:N67-10(スムースカイエン)
- 別名:ハワイ種・在来種・島パイン
- 大きさ(重さ):約1Kg~1.5Kg
- 味:甘さと酸味のバランスが良く、果汁多め
- 収穫時期:年間を通して流通
ハワイ種パイン「正式名称:N67-10(スムースカイエン)」は、1985年に登録されたパインです。
果実が大きい上に、酸味・甘さ・水分のバランスが取れた昔から沖縄で愛されている品種のパインです。
ボゴールパイン(スナックパイン)
ボゴールパインの詳細
- 正式名称:ボゴールパイン/li>
- 別名:スナックパイン
- 大きさ(重さ):約700g~1㎏
- 味:糖度が高く酸味は穏やか
- 出荷時期:4月~8月頃に出回ります
- 特徴:ひと節ずつちぎって食べる事が出来る
最近では広く知られるようになってきたボゴールパイン(別名:スナックパイン)は、包丁で切って食べるのではなく、ひと節ずつちぎって食べる事が出来るとても面白いパインです。
糖度が高く酸味が穏やかな事、さらに実が柔らかく芯まで食べる事が出来るのも特徴の一つです。
ピーチパイン(ミルクパイン)
ピーチパインの詳細
- 正式名称:ソフトタッチ
- 別名:ミルクパイン・ピーチパイン
- 大きさ(重さ):約600~800g程度
- 味:桃のように甘い
- 収穫時期:4月から7月頃
- 特徴:果肉が白っぽく、桃のような香りと甘さが特徴
1999年に登録された商品で、品種名は「ソフトタッチ」といいます。
なぜ、ソフトタッチではなく「ピーチパイン」として流通しているかというと、桃のような甘さと、ほんのり桃のような香りがするからなのだそう。
果皮が赤っぽく、小ぶり、果肉が柔らかいという特徴をもっています。
サマーゴールド
サマーゴールドの詳細
- 正式名称:サマーゴールド
- 大きさ(重さ):約1Kg
- 味:甘みが強く酸味は少なめ
- 収穫時期:4月から7月頃
- 特徴:希少種「クリームパイン」の掛け合わせ
2004年に登録された比較的新しい品種となっています。
サマーゴールドは、甘さを追求するために希少種である「クリームパイン」と「McGregor ST-1」を交配させて出来た品種なのだそう。
甘みが強く酸味が少ない為、人気のある商品となっています。
ジュリオスター
ジュリオスターの詳細
- 正式名称:ジュリオスター
- 大きさ(重さ):約1.2Kg前後
- 味:甘みが強く、適度な酸味がある
- 出荷時期:7月下旬~8月
- 特徴:糖度が高い部分で18度ほどある。完熟後の日持ちが長い
希少種「クリームパイン」と、ハワイ種パイン(N67-10)の交配で生まれたジュリオスターは、2009年に登録された比較的新しい品種のパインです。ジュリオスターというカッコイイ名前の由来ですが、7月(July)に熟するパインという事から名付けられたのだそうです。
このパインの凄いところは、糖度の高さと日持ちが良い点!糖度が高い部分で18度もあるのだそう。また、通常パインは完熟してから4~5日程度しか日持ちしないのですが、なんとジュリオスターは7~9日ほど日持ちするのだそうです。
ハワイ種パイン(N67-10)との交配なので、適度な酸味もあるので「甘いだけのパインは物足りない」という方にお勧めしたい品種です。
黄金パイン
黄金パインの詳細
- 正式名称:デルモンテ ゴールドパイナップル
- 別名:黄金パイン・ティダパイン・ゴールドパイン・ゴールデンパイン
- 大きさ(重さ):約1Kg~1.5Kg前後
- 味:甘みと香りが強い
- 出荷時期:4月下旬~8月
- 特徴:果肉がオレンジに近い黄色
石垣島で栽培されている黄金パインは、デルモンテ社がハワイ種パイン(N67-10(スムースカイエン))を品種改良したものです。正式名称は「デルモンテ ゴールドパイナップル」ですが、沖縄では「黄金パイン」や「ティダパイン」、「ゴールドパイン」「ゴールデンパイン」という名で流通しています。
通常のパインよりも手間がかかる為、栽培している農家さんが少なく、沖縄県内のスーパーでもあまりお目にかかることはありません。
甘さと香りの強さで、石垣島産のパインの中でも人気のある品種となっています。
ハニーブライト
ハニーブライトの詳細
- 正式名称:ハニーブライト
- 大きさ(重さ):約1Kg前後
- 味:甘みが強く酸味が少ない
- 収穫時期:8月~9月
- 特徴:果肉がオレンジに近い黄色で果汁多め
1999年に登録されたハニーブライトは、「ハワイ種パイン(N67-10)」と「I-43-908」を交配して出来た品種となっています。
果肉がとても甘い事から「ハニーブライト」という名がつけられました。あまりの甘さから、缶詰(シロップ漬け)のパインみたいだという方もいらっしゃるほど甘いのだそう。
見た目がボゴールパインパインに似ているのですが、こちらは「ちぎる」のではなく、包丁で切って食べるタイプのパインです。
ゆがふ
ゆがふの詳細
- 正式名称:ゆがふ
- 大きさ(重さ):約1Kg前後
- 味:甘みがあり、果汁が多い
- 特徴:果肉は白っぽい
2004年に品種登録された「ゆがふ」。果肉が白っぽく、一見すっぱそうにも見えますが、食べてみると甘いというのが特徴です。
甘みがあり、果汁がとても多く、豊かな味わいがある・・・という意味を込めて「ゆがふ」と名付けられたそうです。ちなみに、ゆがふとは沖縄の言葉で「豊かで平和な世界」や「幸せな世界」といった意味があります。
美味しいパイナップルの見分け方(選び方)
美味しいパイナップルの見分け方は、下の通りとなっています。
- 葉先まで枯れずにピンと立っている
- パインのお尻の部分に顔を近づけて甘い香りがするもの
- ずっしりと重みがあるもの
- 胴の部分が黄みを帯びているもの
- パインの下部が若干下膨れ気味になっているもの
また、パイナップルを選ぶ際にはパイナップルのお尻の部分がカビが生えていないか確認しましょう!カビが生えていたら、それは古いパイナップルの証拠です。
パイナップルは追熟しない
パイナップルは、ほとんど追熟しない果物です。
追熟する果物と追熟しない果物の違いは、デンプン質の量にあります。追熟する果物は、追熟の過程でデンプン質が分解し、果糖が生まれます。その結果、果物が甘くなるわけです。
ですが、パイナップルはデンプン質が少ない果物なので、追熟過程で甘みが増えるという事は殆どありません。追熟させようと常温で保管している間に、パイナップルはどんどん劣化してしまうので、購入後は早めに食べるようにしましょう!
ちなみに、酸味が苦手な方は、数日置いてから食べると酸味が若干和らぎます。
パイナップルの保管方法
パイナップルの保管方法は以下の通りとなっています。
- 葉の部分を切り落とす
- 新聞紙などで包む
- 冷蔵庫の冷暗所(野菜室)で、逆さま(葉の部分を下)にして保管
パイナップル農家さん曰く、パイナップルの葉は切り落としてから保存すると、通常よりも少しだけ日持ちするようになるのだそうです。
また、パイナップルを逆さま(お尻部分を上)にして保管する事で、下部に溜まった甘さやうま味が行き渡ると言われています。均等な甘さを味わいたい方は、ぜひ逆さまにして保管してみてくださいね!
カットする前のパイナップルは、4~5日程度しか日持ちしないと言われています。品種によっては一週間近く日持ちするものもありますが、上でお話しした通り、パイナップルは追熟が望めない果物なので、購入したらすぐに食べてしまいましょう!
冷蔵庫で保管する場合
カットしたパイナップルは、2~3日では食べきってしまいましょう。
密封容器だと、ラップで保管した場合よりも日持ちはしますが、それでも3~4日で美味しいうちに食べてしまうようにしましょう!
食べきれない!そんな時には冷凍保存を!
パイナップルは冷凍保存も可能です。
食べやすくカットして冷凍保存しておくことで、パイナップルのシャーベットやスムージーなどにも使うことが出来ます。
パイナップルは、一昔前よりも格段に美味しくなっている
フルーツ好きな筆者は、日ごろからよくフルーツを購入して食べています。中でも、パイナップルは美味しい上に、コスパが良い(種類によっては約300円程度で一玉購入できる)ので頻繁に食べているのですが、パイナップルは一昔前に比べると格段に甘く・美味しくなりました!ここ10~20年の間で、「パイナップル=酸っぱい果物」から「パイナップル=甘い果物」という位置づけに変わったんです。
パイナップル農家さんや農業研究センターさんの、研究や努力の甲斐あって、甘くて美味しいパイナップルを出荷できるようになったのでしょう。苦手だった口の中がピリピリと痛くなる現象も無くなり、本当に最高に美味しいフルーツへと成長しました。
上では、たくさんの品種のパイナップルをご紹介しましたが、どれも本当に驚くほど甘くジューシーで美味しいです!「パイナップルは口が痛くなるから」と嫌厭されていた方は、ぜひ旬の沖縄県産パイナップルを食べてみてください!本当に美味しいですよ♡
「パイナップルは好きだけど、口が痛くなるから食べない」という理由で、長い間パイナップルを食べていない方は損をしていますよ!