沖縄そばのメニューとして人気なのが、じっくりと時間をかけて煮込まれた豚肉がトッピングされたソーキそばがあります。でも、ソーキそばには、「軟骨ソーキ」と「本ソーキ」があり、それぞれは全くの別物なんです。一体何が違うのか、詳しくご紹介していきたいと思います。
そもそもソーキって何?
ソーキそばにトッピングされているソーキとは、豚肉の部位の一部分のことで、一般的には豚のスペアリブのことを言います。
スペアリブの部分が櫛(くし)に似ていることから、「すき(沖縄の方言で櫛のこと)」と呼ばれるようになり、それが次第に訛っていき「ソーキ」と呼ばれるようになったと言われています。たしかに、骨付きのあばら骨は、骨の部分だけを見れば櫛(くし)のようにも見えます。
軟骨ソーキと本ソーキの違い
軟骨ソーキと本ソーキの違いは、部位に含まれる骨の種類が関係しています。軟骨ソーキは、名前からもわかる通り、軟骨を含んでいる豚のあばら肉のことを言います。
これに対して、本ソーキとは、硬い骨を含むあばら肉のことで、一般的に「スペアリブ」と呼ばれる部位のことを言います。
それぞれ、あばら肉であることには間違いありませんが、少しだけ位置が違うため、肉質なども若干違いがあります。
軟骨ソーキと本ソーキの食べ方の違い
沖縄そばのトッピングに使われるソーキは、軟骨ソーキであっても本ソーキであっても、長時間かけて肉が柔らかくなるように煮込んで作ります。そのため、軟骨ソーキの場合、軟骨部分も食べることが出来ます。ですが、硬い骨を含む本ソーキの場合は、骨を取り除いて食べる必要があります。
そのこともあって、本ソーキそばを頼むと、骨を入れるための取り皿が一緒に出てくる店舗が多くありますが、軟骨ソーキそばを頼んだ時は、特に取り皿が出されることはありません。
地元では有名な軟骨ソーキにまつわる都市伝説
軟骨ソーキについては、戦後の沖縄で広がった、ちょっと気味の悪い都市伝説があります。
軟骨ソーキ「食用ネズミ説」。軟骨ソーキは、豚肉の軟骨付きあばら肉といわれているのですが、それが、実は食用ネズミだったというのです。この、軟骨ソーキ食用ネズミ説以外にも、まさかと思われるような都市伝説はあり、なんとその話では、豚肉でも、食用ネズミでもなく、犬の肉だという話!その他にも、カンガルーの肉という方もいたそうです。
あくまでも、この話は、沖縄の都市伝説の域を超えてはいないのですが、地元の年配ソーキファンの中には、ソーキそばを頼んで軟骨ソーキが出てくると、激怒して帰ってしまう人もいたとか・・・。
真実は、豚の解体法の改定にあった
この都市伝説が広まったのは、だいぶ前のお話しなので・・・真偽のほどは分かりませんが、実際に今、そば屋などで食べることが出来る軟骨ソーキは、正真正銘 豚のお肉です。
どうも、この話(都市伝説)の根拠となっているのが、沖縄における豚の解体法にあるようです。
もともと沖縄では、「鳴き声以外はすべて食べる」といわれるほど、豚のあらゆる部位を食べる文化があります。そのため、本土復帰までの沖縄では、沖縄式の豚の解体法が採用されていました。この時点では、沖縄においてソーキは、軟骨ソーキや本ソーキといった区別はなく、どちらも「ソーキ」として販売されていました。
ところが・・・本土復帰後の沖縄では、本土と同じ豚の解体法が導入され、それまでは同じ部位とされていた軟骨部分とスペアリブの部分は、別の部位として処理するようになります。これによって、スペアリブとして処理をする部位は「本ソーキ」とし、軟骨が含まれる部位を「軟骨ソーキ」と分けるようになったということなのです。
今までソーキとして提供されていたものが、本土復帰後、急に「本ソーキ」「軟骨ソーキ」と二種類に分けられて販売され始めたことで、沖縄県民の中で疑問が浮かび、上記の都市伝説のような話が出回ったのではないかと言われています。
どちらが好きか自分自身の口で確認してみて!
上の項目でもお話ししましたが、本ソーキと軟骨ソーキの大きな違いは骨が違うということ。ですが、骨の周りについたお肉の柔らかさや質感、脂身の量などにも違いがある為、沖縄県民の中でも「本ソーキ派」と「軟骨ソーキ派」に分かれるんです。
ぜひ、どちらのソーキ肉が好きなのか、自分自身の口で確かめてみてくださいね!