沖縄の軍用地を購入する前に知っておきたいこと

沖縄に無数にある軍用地は、個人でも所有することが出来ます。そのため、財テクとして軍用地売買に注目する人が今でも多いのですが、購入する前だからこそ、知っておきたい軍用地ビジネスの基本があります。

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軍用地の借主は防衛省

防衛省

軍用地は、駐留米軍用地だけでなく、自衛隊基地への土地提供も対象となります。全国にも米軍基地や自衛隊基地は多く存在していますが、本土と沖縄では、土地の所有者に大きな違いがあります。

本土の場合、軍用地の所有者は国です。国が所有した国有地を米軍基地に提供するのが本土の軍用地の為、軍用地ビジネスという言葉はほとんど存在しません。ところが沖縄の場合、軍用地の所有者には多くの民間人が含まれています。

収入源が「軍用地」って何?沖縄の軍用地ビジネスの秘密

2017.09.07

もちろん、沖縄県や市区町村が所有する土地もあるのですが、これらすべてを含めると、全体の65.5%が国以外の所有者となっています。そのため、沖縄で米軍基地を維持するためには、これらの軍用地主から国が土地を借りる必要があります。ですから、沖縄の軍用地の借主は、国(防衛省)となります。

軍用地の販売表示価格は一般のものと違う

見積書

軍用地を購入するということは、土地を購入するということになるのですが、一般的な土地の販売表示価格と軍用地の販売表示価格には、大きな違いがあります。

一般的な販売表示価格

一般的な土地の販売表示価格といえば、坪単価に土地の面積をかけて表示します。

ですから、坪単価10万円の土地が100坪の土地の場合は、「10万円×100坪=1000万円」となります。

沖縄の軍用地の場合

軍用地の販売表示価格は、「年間借地料×倍率」で計算されます。

年間の借地料は、毎年変動します。この年間借地料は、国と社団法人沖縄県軍用地主連合会(土地連)による話し合いによって決まります。この借地料は、1㎡あたりの単価と広さが関係してきます。

1㎡当たりの単価は土地によって異なる

国が支払う借地料は、1㎡当たりの金額によって決まるのですが、この時に参考にするのが地目(土地の利用目的)や種別になります。

倍率とは

軍用地の販売表示価格で必ず目にする「倍率」とは、軍用地ごとに異なる係数のようなものです。特に、返還に関する情報は倍率と大きく関係します。

返還の見込みが少ない軍用地ほど倍率は高く、那覇空港、那覇航空自衛隊基地、那覇利騎乗自衛隊基地、嘉手納飛行場などがこれにあたります。逆に、返還が予定されている軍用地の倍率は低くなります。

一般的な倍率とは?

かつては、25~30倍程度が一般的な倍率だったのですが、ここ数年は、30~40倍の土地が増えています。

返還が予定されている普天間基地ですが、返還後も国や県からの支援が期待できるため、倍率は35倍が目安になっています。同じく返還が予定されている牧港補給地区も、返還後の利用価値が高いということもあって倍率は37倍となっています。

倍率が40倍を超える土地の一例としては、陸上自衛隊那覇駐屯地の44倍や、嘉手納飛行場の44~46倍、航空自衛隊那覇基地の46倍などがあります。

毎月収入がある訳ではない!

給料

軍用地の土地収入は、毎月払われるものではありません。

軍用地の借地料は、毎年8月初旬に支払われます。これは、1年分の借地料が一括して支払われるのですが、借地料の値上がりが行われるのは12月なので、値上がりした分の借地料は含まれていません。

値上がり分は1月に一括で支払われる

12月に行われる国と土地連の話し合いの結果、決定した値上げ分は、翌年の1月に一括で支払われます。値上がり額は、1月に各地主へ通知される土地借地料算定調査によってわかります。

翌年の借地料

値上がり後の借地料が、翌年支払われる借地料の算定の基準となります。

軍用地の購入に適した時期

カレンダー

メリットは大きいわりにリスクが少ない軍用地や、定年後の資産運用としても人気があります。でも、実際にどのタイミングで購入するのが、最もお得なのでしょうか?

取引が活発になる時期を見極めろ

軍用地の取引が活発になるのは、毎年12月から翌年の4月までの期間です。この時期は、公務員の定年退職者が、退職後の資産運用として購入を希望するため、必然的に売買が活発になります。

ところが、値上がりが決定するのは、1月。ということは、できるだけ安く軍用地を手に入れるには、値上がりが決まる前の12月ということになります。

12月は物件が少ない

根上がり後に購入するよりは安い値段で手に入る12月ですが、その分、物件の数も少ないのが現実。

ですから、軍用地を使ってうまく資産運用をしたいのであれば、地道に物件をリサーチしていくことが大切です。

基本的に売買される軍用地の数は少ない

もともと、先祖代々の畑を強制収用されたのが、現在の沖縄の軍用地です。ですから、軍用地主の多くは、先祖代々の土地を相続しているというのが現状です。とはいえ、軍用地も資産です。ですから、相続すれば当然、相続税の対象になります。

そのため、相続税の支払いのために軍用地を売りに出すという地主が多いのですが、ここにも、地主のための救済措置があります。

実は軍用地は、担保としての価値もあります。ですから、相続税の支払いに困ったとしても、軍用地を担保にして銀行などから借り入れをすることもできます。こういった理由もあって軍用地は、売りに出される数が少ないのです。

沖縄の銀行には軍用地ローンがある

ローン

キャッシュで一括支払いができるという人もいるかもしれませんが、一般的には、銀行の借り入れを利用して購入します。特に軍用地は、アパートなどの不動産運用よりも評価が高いため、軍用地購入のための「軍用地ローン」が存在します。

琉球銀行の軍用地主ローン

軍用地主だけでなく、個人で新たに軍用地を購入する場合でも利用することが出来る軍用地主ローンです。

県内在住者であれば、原則20歳以上で最終返済時の年齢が70歳以下であれば利用することが出来ます。県外在住者でも利用することはできますが、その場合は軍用地主会への加入が必要となります。

銀行

琉球銀行の詳細

ローン相談センター
【南部】那覇ローンセンター・真嘉比ローンセンター・牧港ローンセンター・南部ローンセンター
【中部】中部ローンセンター・北谷ローンセンター
【北部】北部ローンセンター
URL
http://www.ryugin.co.jp/kariru/free/gunyou.html

沖縄銀行の軍用地主ローン

沖縄銀行では、連帯保証人が原則として不要な2つの軍用地主ローンがあります。

軍用地ローン
軍用地主または新規に軍用地を購入する場合に、利用することが出来るローンです。融資期間は、10年、15年、20年、25年とそれぞれ設定があります。
枠々軍用地ローン
上記の軍用地ローンよりも受付が簡単で、ATM機を使えばいつでも融資が受けられるというのが特徴です。

融資期間は3年ですが、原則として自動更新されるシステムです。

銀行

沖縄銀行の詳細

ローン相談センター
【南部】那覇店・新都心店・牧港店・南風原店・いとまん店
【中部】美里店・北谷店
【北部】やんばる店
【その他】東京店
URL
http://www.okinawa-bank.co.jp/kojin/kariru/gunyouchi.html

沖縄海邦銀行の軍用地主ローン

沖縄海邦銀行でも、軍用地主ローンはあります。ただし、利用対象の条件が、琉球銀行や沖縄銀行と比べると限定されています。

基本的に軍用地主である、または地主の一親等の続柄であるということが条件で、さらに、国から支払われる軍用地料の振り込み口座を、沖縄海邦銀行に指定している(または次回以降指定する)ということが必要になります。

銀行

沖縄海邦銀行の詳細

ローン相談センター
南風原ローンプラザ・お客さま相談プラザ 大湾
URL
https://www.kaiho-bank.co.jp/loan/military/

コザ信用金庫

コザ信用金庫にも、軍用地ローンはあります。こちらも、利用できる対象者の範囲が細かく設定されています。

基本的には、軍用地主またはその一親等の続柄、および同居している家族であるということが条件になり、さらに、軍用地料の口座振込指定をコザ信用金庫としていることが条件となります。

銀行

コザ信用金庫の詳細

ローン相談センター
各店舗の窓口まで
URL
http://www.kozashinkin.co.jp/loan/index.html

もちろんリスクもあるので、購入の際は色々慎重に!

仕事

沖縄に昔からある軍用地ビジネスについてお話ししてきましたが、もちろん軍用地ビジネスにもデメリットはあります。

例えば、利回りが悪かったり、50年を見越して軍用地を購入したが、すぐに返還されてしまったり・・・県外の方は軍用地ローンが組む事が難しかったりと、様々なデメリットもあるようです。

通常の土地よりも高い買いものとなるので、軍用地の購入を検討されている方は、しっかりとリサーチしたうえで購入するようにしましょう。