定年を機に沖縄移住をする上で、心配になるのが老後の資産運用。でも人口増加率が高い沖縄では、アパートやマンションの経営をして家賃収入を得るという方法があります。
家主になって家賃収入を確保する
2017年7月1日時点の沖縄県の推計人口は、1,441,982人です。
人口増加率は2005年度と2010年度の国勢調査の結果を見ると、前回調査時と比べると1.0%減の2.3%増となっていますが、全国的に見れば、東京都、神奈川県、千葉県に次いで第四位の増加率を誇っています。
さらに、2015年度の国勢調査では、人口増加率も一気に回復し、全国で最も高い人口増加率となりました。そんな沖縄では、昭和53年以降、持家の減少傾向が続いています。
賃貸物件に人気が集まる沖縄の住宅事情
沖縄県が発表した「住宅の所得関係の推移」によると、沖縄県内における持家の割合が減少傾向に傾いたのは、昭和53年以降のこと。この頃の沖縄は、昭和47年(1972年)の本土復帰から約5年を迎えており、本土復帰当時の人口は、100万人にも達していませんでした。
ところが本土復帰から45年目を迎えた沖縄は、人口が144万人を超え、なんと、復帰当時と比べると1.5倍にも増加しています。これを支えたのは、全国一高い出生率でした。
人口が増加し続けてきた沖縄ですが、意外なことに持家の数は、人口増加率とは反比例し、年々減少傾向にあります。昭和58年には、全国レベルを下回り、平成25年には、ついに持家よりも借家の割合の方が上回る結果となっています。
借家を求める傾向が強いのは、30~40代の子育て世代
沖縄で借家が増加している理由を年齢層に着目してみると、沖縄でのもう一つの特徴が見えてきます。
総務省統計局の「平成25年度住宅・土地統計調査」をもとに沖縄県が発表した資料「年代別住宅の所有関係」によると、全世帯の持家率が全国で61.7%であるのに対し、沖縄は48%と10ポイント以上低くなっています。もう少し詳しく内容を見てみると、より具体的に沖縄の実情が見えてきます。
全国的に見ても29歳以下の持家率は7.8%とかなり低いのですが、30~39歳になると、一気に38.8%にまで増加します。さらに、40~49歳になると、59.6%が持家となり、借家よりも持家の方が多い結果が出ています。
ところが沖縄の場合、持家が借家を上回るのは、50歳以上の年齢。特に40歳までは圧倒的に借家の方が多く、全体の8割を占めています。
30~40代をターゲットにしたマンション経営が狙い目
これらのデータから考えると、沖縄で家賃収入を得ながら資産を運用していくポイントは、30~40代をターゲットにしていくというのが一つの狙い目。
特にこの世代は、子供の成長と住宅は深く関係しているため、単身者や若者世代のように頻繁に引っ越すということも考えにくく、アパート経営をするにはかなりの好条件です。
分譲マンションを購入し、賃貸物件として貸し出す方法もある
私の友人にも、購入した分譲マンションを貸し出して、家賃収入を得ている人がいます。
友人が購入した分譲マンションは、ファミリータイプの間取りで、広さも十分な物件。それを、転勤族のファミリー世帯に賃貸物件として貸し出しているのですが、常に借り手がついているらしく、かなり安定した収入が得られているのだとか・・・。
たしかに、公務員の転勤が多い沖縄では、公務員宿舎以外の借家に住んでいる人もよく見かけます。公務員であれば、住宅に関する補助もありますから、県内の家賃相場と比べるとかなり高めであったとしても、十分に需要はあります。
外人向け住宅も家賃収入には好条件
沖縄ならではのもう一つの特徴に、外国人に物件を貸し出して家賃収入を得るということが出来るという点があります。
沖縄には、23ヶ所の米軍専用施設のほか、8か所の日米共同利用施設、4か所の一時利用可能施設があります。また、これらの施設や区域内外には、所属する軍人や軍属だけでなく、その家族も沖縄に住んでいます。
平成20年2月22日に外務省・防衛省が公開した「在日米軍の施設・区域内外居住(人数・基準)」によると、沖縄県に住む在沖米軍とその家族の総数は、44,963人。そのうち、施設内または区域内に住んでいるのは、34,215人で、残りの10,748人は施設・区域外に住んでいます。
さらに、退役後も沖縄の風土が気に入り、沖縄に住み続けるという人もいます。そんな在日米軍関係者を対象にした賃貸物件で家賃収入を得るというのも、沖縄ならではの特徴です。
外人向け住宅には日本人向けにはない条件がある
多くの在日米軍関係者が住む沖縄では、賃貸経営の一つとして外人向け住宅も人気があります。
でも、外国人向けの住宅を経営するには、日本人向けの住宅とは明らかに違う仕様であるということを理解しておかなければいけません。
外人向け住宅を経営していた友人の例
在日米軍関係者が多く住んでいる北谷町で、外人住宅を経営していた友人の話です。その友人が所有していた物件は、典型的な沖縄の外人向け住宅。
平屋づくりで、歩いてすぐの場所に海があるため、外国人だけでなく、ダイバーからも人気のエリアに物件を持っていた友人は、より高額な金額で貸し出すために、家電や家具をすべてそろえた状態で貸し出していました。
なによりも、日本人と比べて平均的に身長が高い外国人を相手にするので、天井は、通常のものよりも高く、トイレやキッチン、入り口のドアなども、全体的に大きいものに変えたのだとか…。
でも、所属が変更になると引っ越しをしなければならない軍人が相手なので、こうした家電や家具をそろえておくことが、家賃収入を上げるコツなのだそうです。たしかに、私の友人が所有する外人住宅は、築20年を過ぎていましたが、いつでも借主がいる人気の物件でした。
外国人が気に入るエリアでなければ条件には合わない
外人住宅を経営するには、やはり、外国人が好きそうなエリアに物件を確保するということが大切です。
特に沖縄に住む外国人は、海が近いということを条件に挙げる人が多いのが特徴。そのため、「海が見える」「歩いてビーチに行ける」「海沿いを毎日散歩できる」などが、人気の物件となる条件にあります。
基地へのアクセスがしやすいことも条件
一度でも沖縄を訪れたことがある人ならば、国道58号線沿いにある基地入口周辺の大渋滞を目にしたこともあるのでは?
これは、その基地に所属する軍人及び施設で働く従業員、さらには、施設内の工事を請け負う建築関係の業者(たいていは県内の一般的な建築業者です)が、施設内に入るために並んでいるのが原因です。
片側3車線ある国道58号線ですが、ゲート付近になると、片側一車線が完全に渋滞。これを毎日繰り返さなければならないわけですから、いくら景色がよく、設備が整っていたとしても、基地からの距離が離れていれば、借り手はつきません。
専門に扱う不動産会社が少ない
もう一つクリアしなければならないのが、外人住宅を仲介する専門の不動産会社が少ないということです。
私の友人の場合、そもそも友人が米軍基地のすぐ近くで生まれ育ったということや、在日米軍とのつながりが深い知人がいたということが成功の大きな要因だったそうです。そのため、仲介業者を介さなくても、借主と直接取引を行うことが出来たといいます。
そうはいっても、最初の一組が決まるまでは大変だったとか…。ですから、貸し出してから最初の半年くらいは、自分で住んでいたそうです。
それでも、最初に借主が決まると、借主の交友関係に物件の情報が広がっていくため、たとえ退去したとしても、2組目以降はすぐに次の借主が決まるのだそうです。
でも、こうしたバックグラウンドのない移住者となると、安全な賃貸経営のためには、どうしても専門の不動産に仲介してもらうことが必要です。それでも、日本人向けの住宅と比べるとはるかに高額な家賃収入が得られますので、チャレンジしてみるのもいいかもしれません。