北朝鮮によるミサイル発射によって緊張が高まる中、多くの米軍基地を抱える沖縄の安全に再び注目が集まっています。沖縄の米軍基地は、本当に安全なのでしょうか?
- 日本で最も米軍兵士の数が多い沖縄
- ┗東京都の8.6倍もの兵士が駐留する沖縄
- 意外!圧倒的に数が多い海兵隊
- ┣海兵隊は軍事任務を遂行する実行部隊
- ┣北中城村には米海兵隊太平洋基地がある
- ┗すべての海兵隊基地を統括するキャンプ・バトラー
- 基地によって異なる海兵隊の任務
- ┣キャンプ・ゴンザルベス
- ┣キャンプ・シュワブ
- ┣キャンプ・ハンセン
- ┣キャンプ・コートニー
- ┣キャンプ・フォスター
- ┣キャンプ・レスター
- ┗キャンプ・キンザー
- 米軍基地が抱えるもうひとつの問題
- ┣繰り返される在日米兵や軍属による事件
- ┗米軍より先に身柄を確保しなければ逮捕できない現実
- 沖縄には多民族が生活している事を認識しておこう!
日本で最も米軍兵士の数が多い沖縄
日本には、沖縄県以外にも米軍基地はあります。実に5万人以上が日本に駐留しているといわれているのですが、その数は非常に多く、世界第一位となっています。
北朝鮮による脅威が高まる中、日本同様、積極的に米軍との共同演習を行っている韓国ですら、日本の約半数しかいません。これだけ多くの駐留軍の約半数が配属されているのが、沖縄県です。
東京都の8.6倍もの兵士が駐留する沖縄
2010年3月に防衛省が発表した資料によると、沖縄県に駐留する米軍兵士の数は、26,460人。これは、もちろん全国第一位です。
第二位は神奈川県ですが、その数は13,084人。沖縄同様、深刻な基地問題を抱えている神奈川県ですら、沖縄県の約半数にとどまっています。では、日本の主要都市である東京都と比較してみるとどうなるのでしょう?
東京都には、主に輸送基地として使用される横田基地のほか、平成23年に一部返還された赤坂プレス・センター、府中通信施設、多摩サービス補助施設、大和田通信所、硫黄島通信所、ニューサンノー米軍センターの計7つがあります。
ところが、東京都に駐留する米軍兵士の数は、わずか2973人。わかりやすく比較すると、沖縄には、東京の約8.6倍の米軍兵士が駐留しているということになります。
意外!圧倒的に数が多い海兵隊
沖縄に配属される米軍兵士は、陸軍、海軍、空軍、海兵隊のいずれかに所属しています。この中で最も数が多いのが、海兵隊です。
多くの米軍飛行場がある沖縄では、空軍に所属する兵士のほうが多いような印象がありますが、実際には、空軍の2倍以上の兵士が、海兵隊に所属しています。
海兵隊は軍事任務を遂行する実行部隊
海兵隊は、MAGTF(マグタフ)と呼ばれる基本的な組織で編成されています。このMAGTFは、さまざまな軍事任務を遂行する、いわば実行部隊。そのため、日々行われている訓練は、どんな任務に対しても確実に遂行するためのものです。
任務遂行のために海兵隊では、指令部隊、陸上部隊、航空部隊、兵站部隊の4つがあります。
- 指令部隊
- 指令部隊では、主に指令、諜報、通信、管理支援にあたります。
- 陸上部隊
- 陸上での店頭作戦を実施するために編成されます。実際には、歩兵、砲兵、偵察、装甲、軽装甲、水陸両用強襲車両、工兵、その他で構成されています。
- 航空部隊
- 航空機を使った攻撃または防衛作戦を実施するために編成されます。
- 兵站(へいたん)部隊
- 兵站部隊は、作戦軍として後方支援を担当します。連絡や交通の確保、車両や軍需品の輸送、補給、修理などが主な任務です。
北中城村には米海兵隊太平洋基地がある
沖縄本島中部に位置する北中城村には、沖縄にあるすべての海兵隊基地を管轄下におく米海兵隊太平洋基地(MCIPAC)があります。
この米太平洋海兵隊の直下には、第三海兵遠征軍が編成されており、さらにこの第3海兵遠征軍は、第3海兵師団、第1海兵航空団、第3海兵兵站群、第3海兵遠征旅団、第31海兵遠征部隊が指揮下にあります。
すべての海兵隊基地を統括するキャンプ・バトラー
同じく北中城村には、沖縄県内にあるすべての海兵隊の基地および海兵隊施設を統括する組織「キャンプ・バトラー」があります。
このキャンプ・バトラーでは、海兵部隊の訓練の実施や、日米安全保障任務を遂行するための支援提供なども行われているため、海兵隊の組織の中では重要な役割を果たしています。
このキャンプ・バトラーには、キャンプ・ゴンザルベス、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、キャンプ・コートニー、キャンプ・フォスター、キャンプ・レスター、キャンプ・キンザーの7基地が所属しています。
基地によって異なる海兵隊の任務
ひとまとめに海兵隊といっても、それぞれの基地によって、任務が異なります。任務が違えば、行われる訓練の内容や基地の性質も異なります。
キャンプ・ゴンザルベス
本島北部にある国頭村と東村にまたがる森林地帯に作られたキャンプ・ゴンザルベスは、米軍でも唯一のジャングル訓練施設であり、県内にある米軍基地の中でも最大の軍事演習場でもあります。
そのため、このキャンプ内では、ヘリコプター訓練や脱出生還訓練、サバイバル脱出訓練などが行われています。年間、数千人にも及ぶ海兵隊員が、この軍事演習場を利用しています。
キャンプ・シュワブ
本島北部にある久志岳の下方傾斜に位置する駐屯地が、キャンプ・シュワブです。現在は、普天間基地の代替施設の建設に反対する抗議活動や座り込みが、連日、ゲート前で繰り広げられていることでも有名です。
キャンプ・シュワブに配属される海兵隊は、主に訓練施設の整備や運営にあたります。こうしたこともあり、キャンプ・シュワブに配属される米兵は、昔から地域住民との交流が活発に行われているという点が特徴としてあります。
特に、辺野古地区に住む住民との交流は活発で、地元の伝統行事である辺野古ハーリーや運動会、大綱引きなどには、辺野古11班として参加しています。
キャンプ・ハンセン
本島北部にある金武町の海兵隊駐屯地です。かつては実弾砲兵射撃訓練がこのキャンプ内で行われていましたが、1997年以降、この訓練は本土へと移転されました。
キャンプ・ハンセンは、戦術的作戦訓練基地として利用されています。2008年からは、陸上自衛隊も、同基地内で訓練を行うようになりました。
キャンプ・コートニー
本島中部にあるうるま市の海兵隊駐屯地です。
基地内には、在日海兵隊の司令部が設置されており、隣接するキャンプ・マクトリアスには、軍人やその家族のための住宅施設があります。そのため、キャンプ・マクトリアスには、ベクテル小学校があります。
キャンプ・フォスター
キャンプ・フォスターは、沖縄市、宜野湾市、北谷町、北中城村の四市町村にまたがって設置された駐屯地です。
キャンプ・フォスターの主な任務は、基地内の部隊への作戦、運営、モラル、安全そして防衛支援管理となっています。
もともとは陸軍の駐屯地でしたが、1975年に海兵隊に移管されました。陸軍の駐屯地時代には、キャンプ・瑞慶覧と呼ばれていました。
キャンプ・フォスターには司令部のほか、兵舎や住宅、学校などのほか、銀行、スーパー、映画館などの娯楽施設がすべて設置されています。そのため、基地というよりは、ひとつの街のような印象があります。
キャンプ・レスター
キャンプ・レスターは、SACO合意によって大部分がすでに返還されています。
かつてはキャンプ内に、海軍病院がありましたが、これも、2013年にはキャンプ・フォスターに移転しています。その為、現在では米軍の住居専用施設として使用されています。
キャンプ・キンザー
浦添市にある海兵隊の駐屯地です。沖縄の本土返還前の1945年に、米軍の物資集積所として建設されました。
キャンプ・キンザーに配属された海兵隊の任務は、主に整備、補給、工作、医療支援となります。基本的にキャンプ内にある施設は、兵士やその家族を支援するために設置されたものが多く、小学校や医療施設、スーパー、映画館などの娯楽施設などがあります。
米軍基地が抱えるもうひとつの問題
このように、それぞれの海兵隊の基地についてみてみると、実際に軍事訓練を行うための施設が多く設置された基地と、兵士やその家族が暮らすための施設が多く設置された基地の2種類に分かれていることがわかります。
とはいえ、軍事訓練施設でない基地であれば問題が起こらないというわけではありません。それが、所属する兵士や軍属が引き起こす事件です。
繰り返される在日米兵や軍属による事件
これまで沖縄では、沖縄の基地に所属する在日米兵や軍属による残酷かつ凄惨な事件が、幾度となく繰り返されてきました。
1995年に起こった沖縄米兵少女暴行事件は、駐留する海兵隊員2名と軍人1名の計3名が、12歳の女児を拉致し、集団強姦した強姦致傷および逮捕監禁事件。非常にショッキングな事件であったため、この事件をきっかけに、県民の反基地感情は一気に高まりました。
さらに、2016年には、うるま市でウォーキング中の20歳の女性を強姦目的で殺害し、遺体を恩納村の山中に遺棄した強姦致死、殺人および死体遺棄事件が発生。犯人の供述をもとに発見された被害者の遺体の大部分が白骨化していたということも、遺族に深い悲しみを負わせました。
この事件の犯人は、2014年までアメリカ海兵隊に所属していたアメリカ国籍の会社員。
事件当時の身分としては軍組織に所属しない民間人ではありましたが、嘉手納基地内にあるアメリカ空軍のインターネット関連会社に勤務していたことによって「軍属」とされたため、日米双方に大きな波紋を引き起こす事件となりました。
そのほかにも、沖縄では、駐留米兵による女性に対する犯罪が数多く発生していますが、その度に、日米地位協定が被害者やその家族の前に大きく立ちふさがってきました。
米軍より先に身柄を確保しなければ逮捕できない現実
日米地位協定には、米軍兵士が日本で犯罪を犯した場合についても決まりがあります。それは、犯人確保に関することです。
たとえ犯人がわかったとしても、その身柄を拘束するのが、米軍より先でなければ、日本の警察は逮捕することはできません。
さらに、犯人が基地の中に逃げ込んでしまえば、基地内ではアメリカの法律が適用されるため、これも、日本の警察では逮捕ができなくなってしまいます。そのため、過去には、犯罪を犯した兵士が基地内に逃げ込み、そのまま日本を出国してしまったということもありました。
こうした卑劣な犯罪が起こってきた歴史があるからこそ、危険な軍事訓練施設でない米軍基地であっても、沖縄県民にとっては脅威と受け取られているのです。
沖縄には多くの民族が生活している事を認識しておこう!
確かに、日本に住んで日本で罪を犯しながら・・・日本の法が適用されないのは、とてもおかしな話だと思いますし、「米軍基地に逃げ帰ったもん勝ち」というのも納得いきません。
ですが、凶悪事件が起こるたび、連帯責任のように善人の軍人さんや、そのご家族達を攻め立てるのも少し違うかな・・・と思います。
米軍基地に従事している方やそのご家族の多くは、礼儀正しく沖縄県民に溶け込んで生活しています。中には、沖縄の子どもたちを守るようなボランティアや、地域ボランティアに積極的に参加されている方もとても多いんです。
引用元:https://www.facebook.com/mcipacpao/
自分の国ではない地域で、積極的にボランティア活動や地域清掃に参加しているんですよ。日本人にはなかなか出来ない事ではないでしょうか。
国や地域を問わず、どこで生活していてもそうなのですが、善人の中に悪人が紛れて生活している事があります。それに加え、米軍基地が近くにあるという事は、他国の人種(多民族)がご近所さんとして生活している事を表しています。
どんな人が近くに住んでいるのか、全てを把握しきれない以上「女性は夜に一人で出歩かない」「窓を開けて寝ない」など、自分自身で身を守る事(危機管理)も頭に入れておくことが大切です。