性的少数者の方が住みやすいへ!「レインボーなは」宣言って何?

那覇市では、平成27年に「性の多様性を尊重する都市・なは」(通称「レインボーなは」)宣言を発表しています。性的マイノリティが生きやすい社会を掲げているのですが、一体どのような取り組みなのでしょう?

目次 ページガイド

そもそも性的マイノリティって何?

男女

レインボー那覇宣言がどのような取り組みなのかを知る前に、性的マイノリティについてもう少し深く知っておきましょう。

ミア

性的マイノリティとは、「性的少数者」または「性的少数派」とも言われています。性的マイノリティの範囲は広く、大きく分けると、「恋愛の対象に関すること」「性別に関すること」「身体の性に関すること」の3つに分かれます。

恋愛の対象に関する性的マイノリティとは?

同性カップル

恋愛対象に関する性的マイノリティにも、大きく分けると、「恋愛対象の性別に関すること」「他者に対する恋愛感情や性的欲求に関すること」の2つに分かれます。

恋愛対象の性別に関することでは、同性愛(ゲイ・レズビアン)・両性愛(バイセクシュアル)・全性愛(パンセクシュアル)があります。

全性愛とは、男性・女性の分類に適合しない人も全て恋愛対象になるという方の事です。両性愛(バイセクシャル)の方は、男性・女性が恋愛の対象となります。両性愛と全性愛の違いが分からないという方も多いようなので覚えておいてくださいね。

また、他者に対する恋愛感情や性的欲求に関することでは、無性愛(アセクシュアル・Aセクシュアル)・非性愛(ノンセクシュアル)があります。

無性愛・非性愛って何?

無性愛(アセクシュアル・Aセクシュアル)・非性愛(ノンセクシュアル)という言葉は、聞き慣れない方も多いかと思いますので、簡単に説明しておきたいと思います。

無性愛(アセクシュアル・Aセクシュアル)
同性・異性問わず、恋愛感情や性的な欲求を抱かない方
非性愛(ノンセクシュアル)
他者に対して恋愛感情を抱く事はあり得たとしても、性的欲求は持たない方

性別に関する性的マイノリティとは?

若者

性別に関する性的マイノリティには、トランスジェンダー、性同一性障害、Xジェンダー、クロスドレッサーなどがあります。

性同一性障害
生まれた時の性別と心が認識している性別が違う為、心と身体の性を一致させたいと願う方
トランスジェンダー
生まれた時の性別と心が認識している性別は違うが、身体の手術は望まない方が多い
Xジェンダー(クロスジェンダー)
女性・男性の性別のいずれでもない方
クロスドレッサー
異性装者(女装者・男装者)の事で、性別を変えたり、手術をする気はありません。普通に結婚している方も多く、クロスドレッサーはトランスジェンダーの中で最大のグループだと言われているほど多くいらっしゃるそうです。

身体の性に関する性的マイノリティとは?

身体の性に関する性的マイノリティは、現在の日本ではまだまだ理解が進んでいない部分です。沖縄県内でも、多くの当事者がいるのですが、社会的偏見や家族への影響を考え、自らの違和感を隠しながら生活している人がほとんどです。

性的マイノリティといっても、様々なケースがあるため、一概に言葉で表現することが難しいのが現実です。そのこともあって作られた言葉が、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字)です。

現在使われているLGBTという言葉には、多様な性的マイノリティの総称として使われているので、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーに限定しているというわけではありません。

性的マイノリティを抱える人を取り巻く環境とは?

落ち込む

日本も含め、世界の先進国の中では、少しずつであるとはいえ、性的マイノリティに対する社会的政策に乗り出しているところもあります。ですが、世界全体で見てみると、多くの地域で、性的マイノリティに対して否定的な考えがまだまだ多いのも事実です。

世界では同性同士で性的関係を持つと死刑になる国がある

同性同士の性的関係については、先進国であっても、未だに宗教や文化、道徳や公衆衛生などを理由に、政府・組織・個人からの厳しい攻撃を受けることがあります。

ただ恐ろしいのは、同性同士の性的行為に対して、死刑が適応される可能性がある国が世界には存在するということです。死刑適応とまではいかないものの、法律違反として処罰の対象となる国は、世界で70ヵ国以上に上ります・・・。

性的マイノリティの子どもたちはさらに悲惨な環境にある

悲しむ

BL(ボーイズラブ)と呼ばれる小説や漫画が一定の評価を得ている日本ですが、このことが、日本における性的マイノリティの問題の解決に直結していないというところが現状のようです。

それだけに、性的マイノリティの子どもたちが抱える現実は、未だに厳しい状況です。

先生からこころない言葉をあびせられる

学校

現実社会において性的マイノリティの理解や認知が進んでいない今の日本の教育現場では、学校の先生が、性的マイノリティの子どもに対して、こころないことばをあびせることもよくあります。

トイレや更衣室が使いづらい

トイレ

トランスジェンダーの場合、自分の性に違和感がありますから、学校のトイレや着替えの時の更衣室に対して使いづらいと感じていることが多いのが現実です。

たしかに、女子生徒が男子トイレに入って用を足すのはとても恥ずかしいことですし、満員の女子更衣室の中に男子が一人で着替えるということもそれと同じです。でも、戸籍上の性別と心の性別に違和感があるトランスジェンダーの子どもにとっては、毎日がこのような状態と同じこと。

そう考えると、トランスジェンダーの子どもたちにとって世間が考える「普通の学校生活」とは、「苦痛しかない学校生活」なのでしょう。

制服が苦痛

学ラン

日本の学校の多くは、学校指定の制服があります。昔であれば、「男子は学ラン・女子はセーラー服」が基本でしたが、最近では、ブレザーやジャケットも増えてきました。

でも、あくまでも学校指定の制服は、性別によって指定されているという問題があります。戸籍上男性であれば、男子用の制服としてスラックスをはかなければいけませんし、女性であればスカートになります。これも、トランスジェンダーの子どもにとっては、苦痛になるでしょう。

好きな人に気持ちが伝えられない

祈る

恋愛対象に対して性的マイノリティのある子供の場合は、好きな人が出来たとしても、自分が性的マイノリティであることが相手にばれて嫌われてしまうのではないかという不安が強く現れます。

もしもうまく想いを伝えることが出来たとしても、クラスメイトや学校全体がそれを理解してくれるとは限りません。

人を好きになるという気持ちは、心を成長させる大きな要素でもあります。特に、思春期の恋愛感情は、上手くコントロールすれば、勉強への集中力やモチベーションの向上にもつながり、生活面でも大きく作用します。

ところが、この感情に自分からブレーキをかけなければならないのですから、子供にとっては大きな精神的なストレスになってしまうこともあるのです。

那覇市のレインボーなは宣言でかわったパートナーシップ制度とは?

レインボー

全国的に見ても、性的マイノリティを取り巻く環境は、まだ多くの問題が未解決のままの状態です。そんな中に発表された那覇市の「レインボーなは」宣言。「レインボーなは」とは、「性の多様性を尊重する」「LGBTなどの性的マイノリティが生きやすい社会を作ろう」という宣言なのです。

この宣言の発表によって、那覇市では「パートナーシップ登録制度」をスタートさせました。

パートナーシップ登録制度とは?

那覇市のパートナーシップ登録制度では、戸籍上の性別が同じである2人が、お互いを人生のパートナーとした場合、登録をすることで証明書を交付してもらうことが出来ます。

ただし、今のところ、この制度には法的な効力はありません。

パートナーシップ登録を申請することが出来る人とは?

同性カップル

那覇市では、パートナーシップ登録をするためには、次のような条件があります。

  1. お互いを人生のパートナーとみとめて、継続的に共同生活をしていること(または、その約束をしていること)
  2. パートナーとなる2人の戸籍上の性別が同じであること
  3. 20歳以上であること
  4. 2人の住所が、次のいずれかに該当していること
    ・2人とも那覇市民である
    ・1人が那覇市民で、もう一人も今後市内への転入を予定している
    ・2人とも那覇市内への転入を予定している
  5. 次の条件を満たしていること
    ・配偶者がいない
    ・パートナーシップ登録の申請者以外にパートナーシップの関係を持っていない

パートナーシップ登録制度に必要な書類は?

手続き

パートナーシップ登録には、次のような書類が必要になります。

  • 那覇市パートナーシップ登録申請書
  • 住民票抄本(各自1通必要)
  • 戸籍抄本(各自1通必要)
  • 本人確認が出来る証明書(写真付きなら1点、写真なしなら2点)

登録後に那覇市から引っ越ししてもいいの?

ダメ!

残念ですが、その場合は登録書を返還しなければいけません。

「那覇市パートナーシップ登録の取り扱いに関する要綱」第8条第3項によると、パートナーシップ登録をしたとしても、登録者の一人または双方が那覇市外へ転出した場合には、「交付された登録証明書及び事実証明書はすべて返還しなければならない」とあります。

パートナーシップ登録をしたいなら、まずは電話予約を!

スマホを見る女性たち

那覇市のパートナーシップ登録を希望する場合は、婚姻届けのように、いきなり役所に書類を提出しに行っても受け付けてもらえません。まずは、申請を出すために、電話予約が必要になります。

基本的に、日曜・祝祭日・年末年始以外は受け付けていますので、まずは電話で相談してみてくださいね。

電話

那覇市パートナーシップ登録 電話予約受付先

窓口
なは女性センター
住所
沖縄県那覇市銘苅2-3-1 なは市民協働プラザ1F
電話
098-951-3203
受付時間
月~金曜日 9:00~21:00
土曜日 9:00~17:00
休館日
日曜・祝日・慰霊の日(6/23)・年末年始(12/29~1/3)