神の島といわれる久高島は、本島からフェリーで20分の離島。連日多くの観光客が訪れますが、実は、冬の穴場観光スポット!歩いても島が一周できる小さな島の、冬ならではの楽しみを紹介します。
斎場御嶽から見える神の島・久高島
久高島は、琉球王国最高の聖地と呼ばれる島。
その昔、琉球の国づくりをしたといわれている神さまが降りたといわれているため、今でも年間通して様々な神事が行われています。そのため、沖縄に長く住んでいても、この島だけはどこか特別な意味があるように感じられます。
もちろん、パワースポット巡りとして訪れる人も多い久高島ですが、実は冬だからこそ満喫できる穴場の沖縄観光スポット!
なぜなら・・・久高島は、観光客が多く訪れているのに、観光地化がほとんどされていないのどかな島。その為、散策中にカフェに立ち寄るということもなければ、景色を邪魔するようなカラフルな看板もありません。
しかも、夏の地獄のような暑さとは違い、冬の日差しは優しく、島を通り過ぎる心地よい風のなか、のんびりと散策することが出来るのです。
沖縄の冬景色をのんびり楽しめる散歩道
久高島には、レンタカーはありません。島では、車はほとんど通りません。島で見かける乗用車は、島内ガイド用の車か、畑仕事に出かける軽トラックのみ。
ですから、島を観光するなら、徒歩またはレンタサイクルになります。
島は細長い形をしており、フェリー乗り場から徒歩15分圏内に住宅地が密集しています。でも、住宅街を出ると、防風林の中を一直線に伸びる道と、丁寧に耕された畑が、延々と続きます。
フェリー乗り場から集落に向かう坂を上ると、そこが島一番の繁華街。
フェリーの乗船券売り場やレンタサイクル、食堂やカフェがあります。島内一周するなら自転車は必要ですが、冬の久高島観光を満期するなら、ここですぐに自転車を借りず、まずは、メーギ浜に向けてのんびりと歩いてみましょう。
地図など持たず、メーギ浜に向かうのどかな道をのんびりと歩いていると、特別何かがあるわけではないのに、思わずカメラのレンズをのぞきたくなるような景色が続きます。
木々のトンネルがあるかと思えば、ガジュマルのカーテンが広がっていますし、合間には柔らかい冬の空が顔をのぞかせます。
しばらく歩いていると、波の音が聞こえてきます。そこが、メーギ浜です。
フェリー乗り場からもそう遠くなく、しかも波も穏やかなメーギ浜では、島で唯一海水浴を楽しむことが出来る場所。とはいえ、観光地化されていないため、派手な看板や景色を遮るものは一切ありません。
それでも、浜一帯は非常に綺麗に整備されており、ごみも見当たりません。さながら、コンパクトな天然の海浜公園といった感じです。
このメーギ浜を見下ろす小高い丘の上にあるのが、かつて島の子どもたちが通っていた久高島小・中学校跡地です。
現在、久高島小・中学校は、住宅街の中心部に移転されたため、この場所はキャンプ場として開放されています。かつてグラウンドだった場所は、今も当時のままの姿で残っており、昔はどこの街にでもあった田舎の小学校の風景を思い起こさせてくれます。
趣のある石積みの街並みが素晴らしい
メーギ浜を出て住宅街にはいってみると、立派な石積みの街並みが現れます。
沖縄で石積みといえば、世界遺産に登録されている首里城場や座喜味城、勝連城などの城壁が思い浮かびますが、久高島では、その石積みを一般の住宅街でも見ることが出来ます。
沖縄のグスク群で見られる石積みには、野面(のづら)積み、布積み、相方積みの3タイプがありますが、久高島の住宅街で見られる石積みは、相方積みに野面積みの要素を加えたような感じ。
様々な大きさや形の石を使っているにもかかわらず、隙間なく頑丈に積み上げられた石積みは、沖縄本島内ではなかなか見ることが出来ない趣があります。
さらに、久高島の民家の石積みには、座喜味城の石積みのように、美しいカーブが描かれているのが見所の一つです。
なにしろ久高島のこの風景は、首里城など城壁とは違い、そこに人々の暮らしがあるというところが素晴らしい!こんな発見がたくさんあるからこそ、久高島の冬散歩はやめられないのです。
冬でも色鮮やかな花が迎えてくれる
久高島は、離島とはいえ、沖縄本島南部からわずか5.3㎞海上に浮かぶ小さな島ですから、気候は本島南部地域と同じです。
ですから、私がこの日訪れたのも12月末でしたが、気温は日中20度まで上がるポカポカ陽気。ですから、冬であっても、島内には色とりどりの花々を見ることが出来ます。
特に、この時期に目立つのは、赤い色の花。食堂の入り口にブーゲンビリアが咲いていたり、大きな牛舎に続く砂利道にハイビスカスのカーテンを見つけることもできます。
これはハイビスカスティーの原料としても有名なローゼル。島で栽培しているのは一人しかいないらしく、島を回ってみても、この畑以外の場所でローゼルを見かけることはありません。
ただこの時、私自身は、生まれて初めて生のローゼルを目にしたため、これがローゼルということを知らずにいました。
なにしろ、ススキが続く農道に、突然あまりにも素晴らしい赤い色の花を見つけたため、思わずカメラを向けてしまったというわけ。しかも、偶然そこに畑の持ち主が現れたため、この植物がローゼルであるということを知ることが出来たのでした。
こうした突然の出会いや感動も、夏に訪れていたのではきっと体験できない事。なにしろ、この畑の周辺には、日差しを遮るようなものは何一つありません。過ごしやすい冬だからこそ、こんなのんびりと島時間を過ごすことが出来るというわけです。
ここから先は、是非自分の目で見てほしい
今回紹介したのは、あくまでも島の入口周辺と、ほんの日舞の久高島の日常風景のみ。ですから、本当はほかにも紹介したい場所がたくさんあります。
たとえば、久高島には、沖縄の人々が考えるあの世の世界「ニライカナイ」につながるとされる浜や、黄金のツボが流れ着いたといわれる聖なる浜、男子禁制の御嶽など、例を挙げればきりがないほど…。
でも、そこには、沖縄の人々が信じる古の神様がいるといわれる場所。だから、わたしがカメラを向けるのはここまでです。
だからこそ、あなたの目で直接見てほしい…。
ガイドブックを持たなくても、地図なんかなくても、久高島では、あなたが心に思い描く美しい景色が自然と目の前に現れます。
その一期一会を楽しむことが出来るのが、久高島を「冬の沖縄観光の穴場」として紹介するただ一つの理由なのです。