沖縄の伝統工芸品で、最近ではお土産としても人気が高まってきている「やちむん」。やちむんとは、沖縄の言葉で「焼き物」という意味なんです。陶芸品を元々集めているという方であれば、焼き物の扱い方を知っていると思いますが、沖縄に来て初めて「やちむん(焼き物)」を買ったという方は、使用する前に目止め処理を行いましょう!目止めのやり方についてお話ししていきたいと思います。
やちむんを購入したら、目止めをしよう!
せっかく気に入って購入した器なのだから、「少しでも長く使いたい!」と思いますよね。
やちむんは、使用前に目止めの処理をしておくことで、シミや汚れ、臭いうつりなどを防ぐことが出来ます。これは、やちむんだけでなく陶器類全般に言える事です。
目止めって何?
「目止めって何?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれないので、簡単に説明しておきたいと思います。
やちむんを含む陶器類は、私たちの目では見えないような小さな穴や隙間が沢山あります。
その隙間を、あらかじめ目止め処理で埋めておくことで、汚れやシミ・臭いのもとになるものの侵入を防ぐという事なんです。
その、目止め処理に適しているのが「お米のとぎ汁」。やちむんなどの陶器類は、でんぷんを吸収する特性を持っています。
中でも、お米のとぎ汁には、細かい粒子のでんぷんが含まれていると言われており、より細かな隙間や穴をふさぐことが出来る・・・という訳なんです。
やちむんとして購入しても目止めがいらないものもある
やちむんの作家さんによっては、陶器ではなく磁器のやちむんを作成している方もいます。
陶器と磁器のやちむんは、見た目や質感だけでなく、使用方法なども異なりますので、区別がつかないという方は、お店の方に聞いてみるといいでしょう。
やちむんの目止め処理の材料とやり方
目止めをするのに必要なのは、次の4点です。
- 購入したやちむん
- やちむんが入る大きな鍋
- お米のとぎ汁
- 布巾
お米を食べるご家庭であれば、すぐに準備出来るものばかりですよね!
もし、お米を炊かない(とぎ汁が準備できない)という方は、小麦粉や片栗粉でも代用可能です!お水に、大さじ1~2くらいの小麦粉(または片栗粉)をといたデンプン水で目止めをしましょう!
お米のとぎ汁くらいの濃度(ドロッとし過ぎず、白く濁る程度)のデンプン水を目安に作ってみてくださいね!
目止め処理をしてみよう!
目止め処理自体は、とても簡単です!注意点がいくつかあるので、最後にまとめてお話ししたいと思います。
- 食器用洗剤で洗い、汚れを落とす
- 鍋底に布巾を入れてから、やちむんを入れていく(※1)
- やちむんが浸るくらいの米のとぎ汁を入れる
- 弱火でゆっくり沸騰させていく(※2)
- 沸騰したら弱火のまま10分ほど煮る
- 火を止めて冷めるまで、そのまま放置
- 食器用洗剤で洗い、よく乾かす
(※1) やちむんの傷つき防止
布巾を入れる理由ですが、お湯が沸騰すると気泡が発生し、なべ底とやちむんがガタガタとぶつかり合ってしまいます。その影響で、やちむんに傷がついてしまったり、ダメージを与えてしまう可能性があるので、衝撃を抑える為に、なべ底に布巾を敷き、その上にやちむんを入れます。
多くの皿を一緒に煮る場合は、皿と皿の間にも布巾を入れると、クッション的な役割を果たしてくれるので、やちむんの傷の防止になります!
(※2) 沸騰してから入れる事だけはやめて!
やちむんは、とぎ汁が冷たい状態の時から一緒に煮るようにしましょう。
沸騰してから、やちむんを投入してしまうと、割れてしまう恐れや、お湯がはねて火傷を負ってしまう可能性があります。
目止め処理をやっておくだけで、やちむんの寿命は延びる!
筆者の手元にあるやちむんの中で一番古いものは母から譲り受けたもので購入から十数年経ったものになります。
このやちむんは目止めをしなかった為に、穴や隙間部分がシミになってしまって、人にお出し出来るようなものではなくなってしまいました。
せっかく気に入って買ったものだからこそ、長く使っていくために、使用前の目止め処理は本当に大切な作業なんです。
面倒だからと、目止めをしない方もいるようですが、10年後・・・今と同じような状態を保てているかは、手のかけ方次第ということになります。
初めて使う前の1度だけの作業なので、ぜひ面倒臭がらずに、目止め作業を行ってくださいね!
電子レンジを使いたいという方は、磁器で作られたやちむんを探すようにしましょう!