沖縄には通夜式がない!?通夜式がない理由とは…

本州では、お葬式の前夜に通夜式を行うことが一般的です。ところが沖縄では「通夜式」そのものがありません。「仏教が根付いていない沖縄だから」という説もありますが、どうやら他にも理由がありそうなのです。

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葬儀社にお葬式を依頼するようになってから変わった沖縄のお葬式

沖縄には本州のように昔から仏教が根付いているわけではありません。

そのため沖縄での昔のお葬式は、仏教の教えに基づいた作法ではなく沖縄独自の風習によって行われていました。

そもそも沖縄でお坊さんを依頼してお葬式を行うということが定着したのは、「葬儀社」と呼ばれる葬儀専門業者にお葬式の運営を依頼することが一般的になってからのことです。

それまでの沖縄は、葬儀は地域住民の手で行われるのが一般的でした。

お葬式に必要な道具の準備や制作はもちろんですが、葬儀責任者の任命から日程の調整、さらには遺族の所有する畑の手入れを代わりに行う担当までいました。

火葬が一般的になる前の沖縄では、「葬列を作って墓に行き遺体を墓に納めること」をお葬式といいました。

この時代も沖縄ならではのお葬式の風習や作法などはありましたが、供養のためにお坊さんを依頼してお経をあげるということはありませんでした。

お墓

さらにお墓は一族で共有する門中墓が一般的でしたので、墓がある場所も集落からそれほど離れておらず移動もすべて徒歩でした。

ところが火葬をすることが一般的になってくると、わざわざ火葬場まで移動をしなければならなくなります。

火葬をすることが一般的になったとはいえ、門中墓のように徒歩で移動することが出来るような場所に火葬場があるわけではありません。場合によっては車でも一日かかるような場所もありました。この頃になると、遺体を火葬場まで移動するための車がどうしても必要になってきます。

でも当時の沖縄で車は非常に高価なものでしたから、車を所有している人を探すのも大変なことでした。さらに車が見つかったとしても、今度は車の運転手を見つけることができません。

そこで火葬場の利用者のために車と運転手をセットにして火葬場がサービスを提供し始めたのが、沖縄の葬儀社の始まりといわれています。

法事

こうしてお葬式の運営が「集落」から「葬儀社」に変わったことで、沖縄のお葬式も大きく変わります。

それまで、お墓に行く葬列で鉦を鳴らして先導させるためだけに呼んでいたお坊さんは、本州のお葬式のように供養のための宗教者として葬儀社が手配するようになります。

お葬式のやり方もお坊さんがお経をあげるようになったことで、昔とは大きく変わりました。

昔は、よほどのことがなければお通夜は行わなかった

菊

沖縄では今でも通夜式というものは一般的ではありません。

お坊さんがお経をあげることもありませんし、参列者に通夜振舞いをする習慣もありません。その理由を「仏教が根付いていないから」と考える説もありますが、「そもそも沖縄に通夜というものがなかった」ということも理由の一つとして考えられます。

沖縄では本州のように遺体を土に埋める「埋葬」ではなく、風通しの良い岩場などに遺体を安置する「風葬」が行われていました。

風葬の習慣から沖縄のお墓は独自に発展し、墓の内部に遺体を安置し数年かけて白骨化させた後、遺骨のみを取り出して洗い清め再び墓に埋葬する「洗骨」という風習が生まれます。そのため沖縄では昔、人が亡くなるとその日のうちに墓へ埋葬するのが一般的でした。

ところがこれにも例外が2つありました。

1つは「遺族が遠方に住んでいるためお葬式が出来ない場合」なのですが、もう1つは「夜に亡くなった場合」でした。

沖縄では夜になると人に悪さをするマジムンが姿を現すといわれています。そのため陽が落ちてから亡くなった場合は通夜を行い、翌日にお葬式を行いました。マジムンについては以下の記事をご覧ください。

沖縄でよく見かける石敢當っていったい何?

2017.02.20

通夜を行う時は蚊帳をはり猫が入ってこないように夜通し見張っていた

猫

一部の沖縄県民の間では「亡くなった人の体の上を猫が跨ぐとマジムン(悪霊)になる」という話がありました。(鹿児島県の奄美大島にも同じような話があるようです)

その為なのか…お通夜を行わなければならなくなった場合は、部屋に蚊帳を張りその中に遺体を安置し、猫が遺体の上を跨がないように親族の女性たちが周りを取り囲むという事をしていたそうです。

さらに蚊帳の外では親族の男性たちが、蚊帳の中に猫が入らないように夜通し見張っていたといいます。

沖縄のお通夜はこうして過ごす

香典袋

お坊さんなどの宗教者を呼んで宗教的な意味を持つ通夜式のようなものを行わないことが一般的である沖縄では、本州で一般的なお通夜の過ごし方とはちょっと違います。

そのため本州出身だけど沖縄出身者と結婚した人や沖縄に移住してきた人が初めて沖縄でのお通夜に参列すると、驚くことばかりです。

沖縄では遺族でも通夜では私服を着ていることが多い

驚く

沖縄にはそもそも通夜式のような宗教的な儀式はありません。そのため遺族でも、通夜のためにわざわざ喪服に着替えるということはほとんどありません

セレモニーホールなどで通夜を行う場合は、喪服を着用して弔問するのが沖縄でもマナーなのですが、その場合も遺族が私服を着て対応しても特に問題にはしません。

告別式に参列できない場合は通夜に弔問することが多い

数珠

沖縄では火葬後に葬儀・告別式を行うため、通夜に弔問するよりも告別式に参列する方が一般的です。

ところが、沖縄ではお葬式当日に納骨まで済ませることも一般的な風習にあるため、告別式は昼過ぎから夕方にかけて集中します。

日曜日や祝祭日であれば参列しやすい時間ですが、これが平日となると仕事をしている社会人にとっては参列しにくくなります。

遺族または親族などの場合は葬儀を理由に仕事を休むこともできますが、知人や友人などの場合はやはり仕事を休むことは難しくなります。

そのため訃報を受けたものの日中に行われる告別式に参列できない場合は、喪服を着用し通夜に弔問をするのが沖縄では一般的です。

知人・友人の場合はできるだけ長居をしないのがマナー

参列

沖縄のお葬式は、朝早くから夜遅くまで一日中スケジュールが詰まっています。

これは出棺後にお葬式が行われるだけでなく、その日のうちに納骨まで済ませることが一般的であることが理由です。そのため、遺族とゆっくりと話をしたい場合は、葬儀前日を避けるのが遺族への配慮になります。

さらに亡くなった日から七日ごとに行われるナンカ法要に(ナンカスーコーともいう)も、お葬式と同じように一般の弔問客が訪れるため、遺族の負担にならないように配慮しながら弔問することも大切になります。

ナンカ法要は宗教者を呼ぶような儀式はほとんど行われず、基本的には遺族が主体となっておもてなしをするのが沖縄流です。

また通夜では準備をしない弔問客への食事や茶菓子などの接待も、ナンカ法要の際には行います。ですから直接遺族へ声がけをしたいと考えているのであれば、ナンカ法要で弔問するのがおすすめです。

【まとめ】冠婚葬祭の文化に違いが多い沖縄

葬儀

いかがでしたか・・・?

沖縄には通夜式が行われないこと以外にも、お通夜は身内も私服である・・・など、色々と驚くことも多いのではないでしょうか?

昔々に、独自の文化を築いていた沖縄には・・・まだまだ本土とは違う習慣が沢山あります。移住する前に、様々な文化の違いを知っておくことで、スムーズに沖縄になじむ事が出来ます。

まだまだ、沖縄の文化について分からない事があるという方は、ぜひ下の記事も合わせて読んでみてくださいね!

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