沖縄に移住すれば必ずお世話になるのが地元のスーパーマーケットです。でもそんな沖縄のスーパーを移住者目線で見るとちょっとしたカルチャーショックを受けます。地元では常識の沖縄の「スーパーあるある」とは?
一年中焼きいもが販売されている
季節が夏から秋に変わり肌寒さを感じるようになると無性に恋しくなるのが「焼きいも」ですよね?あの香ばしい焼きいもの匂いがすると、買うつもりがなくてもついついニオイにつられて売り場に誘われてしまいます。
でも沖縄で焼きいもは、寒い時期の風物詩ではありません・・・。夏の暑い時期でも焼きいもは販売されています。
沖縄県内のほとんどのスーパーでは入り口付近に焼きいも売り場があるので、買うつもりがなくても・・・ついそちらの方に誘われてしまいます。
ただ…夏の場合は「ホッカホカの焼きいも」ではなく、お総菜コーナーでひんやりした状態の焼き芋に変わります。それでも、焼きいもは一年を通して人気が落ちません。
国産肉は「国産ブランド肉」よりも「沖縄産ブランド肉」が主流
食の安全が見直されるようになってから長くなった今の日本では、肉を買う時も「輸入肉」より「国産肉」を買う人の方が増えた気がします。
私も久しぶりに関東の実家に帰って、母親と一緒に実家近くのスーパーに出かけると、精肉売り場では「国産肉」と書かれたものを必ず選びます。
でも沖縄の場合、スーパーの精肉売り場では「輸入肉」が堂々と・・・割と多めに幅をとって陳列されています。
店によっては「国産○○肉」と書かれたものもたまに見かけますが、そうした肉を目にするのは庶民派スーパーではなく高級スーパー。
もちろん・・・庶民派スーパーの常連客である私は、庶民価格の地元スーパーを愛用しています。でも、そこで見かけるのは「国産」と書かれたものよりも「沖縄産」の商品や「琉球○○肉」と書かれた沖縄のブランド肉が圧倒的に多いです。
お値段は、沖縄産と書かれたものの方が輸入肉よりもお高めです。
数年前に両親が1週間我が家に泊りがけで遊びに来た時、いつものように私がよく利用する地元のスーパーに買い物に出かけました。すると母親がすぐに「普通の国産肉って沖縄にはないの?」と発言。
たしかに本土出身者の目線で見れば、素直に疑問に思うのも当然ですよね?
巨大なフライドチキンが山のように積み上げられている光景
アメリカの食文化に慣れ親しんでいる沖縄では、フライドチキンは手頃なおかずです。
子供の顔の大きさほどある大きなフライドチキンも、沖縄の庶民派スーパーでは1本100円で販売されているお店も多くあります。
しかも、フライドチキンは大量に作っても、次から次へと売れてしまいます。だから、安くて大きなフライドチキンが定番商品になっているスーパーの総菜コーナーでは、朝から晩まで山のようにフライドチキンを揚げ続け、揚げたてのチキンが売り場に追加された瞬間、多くのお客さんが群がります。
ちなみに沖縄の食卓では、フライドチキンはれっきとしたおかずです。ですから、家族の人数と同じ本数をまとめて購入する人も多いんです。
私も移住当初はビニール袋にこれでもかというほど積み込まれたフライドチキンを見て驚きましたが、今じゃもう慣れました。
ただ「ご飯のおかずにフライドチキンを食べる」という感覚にはまだ違和感があります。
豆腐は出来立ての方が人気
沖縄の家庭料理に欠かせないのが「豆腐」です。本土出身者の感覚では「豆腐は冷たく冷やしたもの」ですよね?私も最初の頃はそうでした。
でも、沖縄では「豆腐は温かいもの」が常識です。
沖縄の豆腐は「地釜豆腐」と呼ばれます。硬さがあり、豆の味が濃厚なのが特徴です。ですから豆腐を手で持っても崩れませんし、手でちぎることも出来ます。
さらに温かい豆腐は人気がありますが、店頭に並んでから時間がたって冷たくなった豆腐は値引きシールが張られます。
ちなみに、温かい豆腐はビニール袋に入れられて販売されています。
しかも、豆腐は熱々の状態で店頭に並ぶため、ビニール袋は密閉されておらず、買う時には豆腐売り場にセットされた「水捨て容器」の中にビニールにたまった豆腐の水を捨ててから自分で袋の口を縛り買い物かごに入れます。
値段にも違いがあります。温かい状態で販売されている豆腐は、半丁で200円前後します。
パック詰めされて冷やされている豆腐は、同じサイズでも100円前後ですから約2倍高いです。
「おいしければ安い方がいい」という沖縄県民ですが、豆腐に限っていえば「高くてもおいしい方がいい」が常識です。
しかも沖縄の地釜豆腐は「温かいうち」がめちゃくちゃ美味しいんです。(もちろん、冷めても美味しい!)
なので、スーパーの豆腐売り場には、それぞれの豆腐屋さん毎に入荷時間の一覧が展示されているんですよ♪
ツナ缶の箱売りは当たり前
子供から大人まで大好きなツナ缶は、いろいろな料理に使える万能食材です。
そんなツナ缶の消費量全国一位は沖縄県となっており、なんと全国平均の4倍以上も消費していると言われています。
中には「めちゃくちゃ美味いツナ缶が売られているのか!?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、ツナ缶の種類は全国にあるスーパーとほとんど同じなんです。
種類もメジャーなものが多いですし、価格もそれほど変わりません。ところが沖縄県民のツナ缶購入率はかなり高いです。
理由は諸説あるのですが、沖縄はアメリカ統治時代が長く、缶詰文化が早くから定着した事がツナ缶の人気に繋がっていると言われています。
その為、沖縄料理ではツナ缶を使った料理(ソーメンチャンプルーやヒラヤーチーなど)の他に、缶詰のスパム(ポーク)や、コンビーフといった缶詰を使った料理が多いのが特徴です。
ツナ缶に関しては、お中元やお歳暮として どれだけ多くの方から頂いても困る事がないので、持っていくと喜ばれる商品なので、箱買いが定着しているのです。
シーチキンでお馴染みのはごろもフーズさんは首里城復元に役立っててほしいと…、日ごろの感謝を込めて2年間で1億円を寄付する事を約束したのだそうですよ!
肉の日フィーバーが凄い
「肉=29」から毎月29日を肉の日として特売日にすることは沖縄県外でもよく見られるスーパーマーケットの光景ですが、肉好きが多い沖縄にとって肉の特売日は平日であってもとんでもないことが起こります。
メインとなるのはやはり29日ですが毎月9が付く日を肉の日とするスーパーマーケットや、2と9が付く日をすべて肉の日とするスーパーマーケットなど、肉特売日が月に何度もあるのが沖縄のスーパーマーケットあるあるです。
特に1ヶ月の中で最もお得率が高い29日の肉の日には、平日であっても店内は大混乱です。
お客さんだけでなく店員さん達にとっても29(肉)の日の肉売り場が戦場であることは変わりなく、形相もいつもと違って殺気立っています。
売る側も戦い、買う側も戦いという毎月恒例の大フィーバーも、沖縄移住者の視線で見ると「なにがそんなに?」と思うでしょう。
たしかに安いといえば安いのですが、テレビで放送されるような爆安スーパーの方がはるかに安いですし、よくよくチェックしてみると「いつもよりお得」という程度の安さです。
それでも「肉が安い」というだけで気持ちが浮足立ってしまうのが沖縄県民で、29日が大混雑するのも沖縄のスーパーあるあるなのです。
海に囲まれているのに鮮魚売り場は思っているほど広くない
沖縄のスーパーマーケットに行くと、海に囲まれている県なのにイメージしているほど鮮魚コーナーは広くありません。
もちろん店によっても品揃えは違うのですが、肉売り場と比べると圧倒的に狭いです。棚を見ても差し当たって珍しい魚はそれほど見当たらず、定番のマグロや鮭などが並んでいます。
どちらかというとお魚は冷凍ものの方が種類は多く、サバや赤魚などはビニールに入れて冷凍販売していることが多いです。
値段もそこそこいい値がついているので、お得だという印象はあまり受けません。これについては沖縄移住者も「なぜ?」と思うでしょう。
ただし沖縄には魚の直売所が各地にあり、そこにはイメージ通りの風景が広がっています。
沖縄あるあるなのですが、おいしい魚を食べたい時には直売所に行くのが定番なのです。
これも魚の直売所が身近にある沖縄ならではの「スーパーマーケットあるある」なのでしょう。
まだまだ奥が深い沖縄のスーパー
食文化の違いというだけでは片づけられない沖縄スーパーの不思議な魅力は、まだまだほかにもたくさんあります。
もしかしたら、あなたの目で見るともっと他のことも「なにコレ?」と思う事があるかもしれませんよ。
旅行先のスーパーを訪れると、地元のスーパーとの違いに驚かされることが多くありますよね!沖縄のスーパーは驚きの宝庫!ぜひ、旅行に訪れた際は立ち寄ってみてくださいね!
かつて、東京で農協関係の仕事をしていた私の父が、「どうして沖縄だけ一年中焼きいもが売れるのか、不思議でならない」と私につぶやいていました。私は長く沖縄に住んでいますが、未だにその時の父の素朴な疑問に答えられません。