沖縄線香「ヒラウコー」は使う目的によって本数に決まりがある

沖縄線香は「ヒラウコー」と呼ばれ、一般的な線香と違い、平たい上に表面に筋があり割って使うこともあります。ただし、ヒラウコーを割る・割らないには決まりがあり、目的によっても使う本数が違います。

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沖縄の線香は平たい!?「ヒラウコー」について

沖縄の一般家庭で「線香」と呼ばれているのは、「ヒラウコー」という沖縄独特の線香のことです。

ヒラウコー

ヒラウコーは「葉御香」「島御香」「黒御香」と呼ばれることもありますが、品物そのものはすべて同じです。

ヒラウコーは、一般的な線香とは違い、火をつけても香りはありません。

そもそも…原料がタブノキの皮・木炭・芋の粕の3つなので、香りを出すことを目的として作られていません。

アン

原料はすりつぶして練ったものを型につめ、幅2センチ、長さ約14センチに成形します。

こうしてできたものがヒラウコーなので、一般的な線香と違い、かなり平たいのが沖縄の線香の特徴です。

ヒラウコーの割り方と本数の数え方を知っておこう!

ヒラウコーには5本の筋がついているため、筋に沿って力を入れると全部で6本の線香に分けることができます。

ただし、ヒラウコーの使い方として、1枚のヒラウコーを割り、6本のヒラウコーを作って使うことはありません。(このような使い方をする場合は、「ヤマトウコー」と呼ばれる一般的な線香を使います)

ヒラウコーの基本となるのは、割らない状態のヒラウコーです。この状態を「チュヒラ(一片)」と呼びます。

ヒラウコー12本

ただし、ヒラウコーの使い方として、チュヒラ1本で使うことはなく、チュヒラ2本を1セットとして使います。

なお、このチュヒラ2本1セットを「ヒラウコー12本」と呼びます。

仏壇用は、チュヒラを二分割した「ヒラウコー3本」

次に、仏壇や墓参りで使うヒラウコーは、チュヒラ(一片)を縦半分に割ったものを使います。これを「ヒラウコー3本」と呼びます。

ヒラウコー3本

仏壇やヒヌカンに線香をあげる時には、ヤマトウコー(一般的な線香)は使わず、ヒラウコー3本を使用します。

その為、沖縄の家庭ではあらかじめヒラウコーを3本に割ったものを焼香用として準備してあります。

チュヒラは最大三分割にする事もある

ヒラウコー2本

ちなみに最も細いのが、チュヒラを3等分にしたものです。

これは「ヒラウコー2本」と呼びますが、通常はこの状態で使うことはありません。

ただし…拝みの時にはヒラウコー2本を使うこともあるので、「最小本数を準備して下さい」といわれた場合は、チュヒラを縦に3等分したものを準備しましょう。

ヒラウコー12本3本も重要!使うタイミングについて

通常、仏壇や墓参りでヒラウコーを使う場合の基本は「ヒラウコー3本」です。

ですが、重要なお願い事をする際などは「ヒラウコー12本3本」を使用します。

ヒラウコー12本3本

使用するヒラウコー12本は、チュヒラ2本でなければいけないのですが、それには理由があり「十二支の神」と関係していると言われています。(12ヵ月を表しているという文献もあります)

チュヒラ2本は、一般的な線香12本分にあたります。これを十二支の神様にそれぞれお供えする線香とします。

十二支の神様は、皆にとって重要な神様なので、神様に大事なお願い事をする時には必ずヒラウコー12本を使うことになります。

「ヒラウコー12本3本」には立て方に決まりがある

「ヒラウコー12本3本」では、チュヒラ2本だけでなく、ヒラウコーを縦半分に割ったヒラウコー3本も使います。

実は、ヒラウコー3本には「この世からのお願いの線香」という意味があります。

使う際には、チュヒラ2本の上にヒラウコー3本を重ね、香炉に立てる際にはヒラウコー3本が手前(自分側)になるようにします。神様へのお供の線香(チュヒラ2本)よりも手前に置くのが決まりなのです。

ちなみに、香炉に立てる時には1本ずつ立てるのではなく、ヒラウコー12本3本をまとめて立てます。

「ヒラウコー12本3本」を使える人は決まっている

なお、拝み以外で「ヒラウコー12本3本」を使うのは、原則として仏壇を継ぐ家長または喪主です。

そのため盆や正月、墓参りの際には、家長が最初にヒラウコー12本3本で焼香をし、家長以外は「ヒラウコー3本」を1本ずつ手にもって焼香します。

ヒラウコーの使い方のタブーとは?

そんなことしたらダメ

ヒラウコーの使い方にはタブーもあります。

まず、ヒラウコーの貸し借りはNGです。

そのため墓参りに行くときには、ヒラウコーを自宅から持参しなければいけません。

特に拝みをする場合には、他人から借りたヒラウコーを使って拝みをしても神様にお願いは通らないといいます。

また、ヒラウコーの本数は、拝みをする目的によって本数にきまりがあります。

その為、決められた本数より少ないのは当然NGなのですが、本数が多いのもNGになります。

ヒラウコーの使い方のタブー

さらに一般の人が使ってはいけないヒラウコーの本数が、チュヒラ4本(割らないヒラウコー×4枚)です。

チュヒラ4本は「二十四本御香」といい、カミンチュと呼ばれる人以外は使うことができません。ですから、一般の人がチュヒラ4本を使うことはタブーとされています。

【まとめ】ヒラウコーの使い方にはまだ多くの決まり事がある

読書

ヒラウコーの使い方と本数、さらにヒラウコーの使い方のタブーを紹介しました。

ですが、ヒラウコーの決まり事は多く、まだ紹介してきれていない事がたくさんあります。

もちろん、使う本数も違いますが、ヒラウコーのほかにウチカビ(印が押されている黄色い紙)やシルカビ(半紙)をセットで使わなければいけないこともあります。

ただし、一般的には「ヒラウコー3本」と「ヒラウコー12本3本」さえ知っていれば、沖縄式のお参りで困ることはありません。

ぜひ、「ヒラウコー3本」と「ヒラウコー12本3本」だけでも覚えておいてくださいね!