沖縄旅行のお土産として人気がある焼物。もしも、あなたが他の誰とも被らない沖縄の焼物を手に入れたいのであれば、知っておきたいのが石垣焼です。今回は、沖縄の青い海を表現した神秘的な石垣焼の秘密を紹介します。
石垣焼はよろん焼から暖簾分けをした窯元だった
石垣焼は、天目茶碗に魅了され、福岡県から与論島に移り制作活動を始めた金子喜八郎氏のよろん焼から暖簾分けをして誕生しました。
よろん焼といえば、世界で初めてガラスと陶器の融合に成功した窯元として有名ですが、その誕生は偶然から生まれたものでした。
金子喜八郎氏が本格的なよろん焼の制作に取り掛かる前の試作品づくりをしている時に、息子(現在の石垣焼作家・金子晴彦氏)からおもちゃとして遊んでいた牛乳瓶の底を焼物に入れてほしいとせがまれたそうです。
「物は試しに」と言われた通りに入れて焼いてみたところ、化学反応によって無色だった牛乳瓶が青く発色しているのを発見しました。
ただ、当時は化学反応によって変色したという知識はなく、なぜそのようなことが起こるのかということは分かりませんでした。
何しろ世界初の発見なのですから、前例もありません。
でもこの偶然の奇跡によって、金子喜八郎氏はガラスと陶器の融合技術の改良にのめり込んでいきます。
この改良が一つの形として完成したのは、奇跡の発見から6年後のこと。こうして、石垣焼の前身となったよろん焼が完成したのでした。
石垣焼最大の特徴とは?
石垣焼最大の特徴は、ガラスと陶器の融合によって編み出された作品であることです。
もともと石垣焼がのれん分けをしたよろん焼は、世界で初めてガラスと陶器の融合を成功させた窯元です。
ただ よろん焼は、民芸品として人々の生活の中で溶け込む作品作りを続けている窯元です。
そこからさらに発展させ、美術工芸品として世界に認められる作品作りを目指したのが石垣焼です。
石垣焼は、琉球王朝時代に中国から伝わった油滴天目の陶器と沖縄の海の色を表現するガラスが融合することによって、奇跡の作品に仕上げています。
美しい宇宙の中に、吸い込まれるような青い沖縄の海が広がる石垣焼は、作品を通して沖縄の海と自然の美しさ、そして調和による美を感じることが出来ます。
ガラスと陶器の融合は非常に難しい
沖縄では琉球ガラスと陶器は、世界的に認められた高い工芸技術を要する作品です。
琉球王国時代には中国への貢物として献上されてきましたし、戦後の焼け野原の中では人々の生活用品として大量に作られ人々の暮らしと戦後沖縄の復興を支えてきました。
そんなガラスと陶器ですが、「それぞれは単体として存在するもの」という考え方が常識であり、覆すことが出来ない事実とされてきました。
なぜならガラスと陶器は、素材そのものが持つ特徴に大きな違いがあるからです。
ガラスは温度が1300度で伸びきり、温度が下がることによって固まる性質があります。
この性質を生かすことによって、精巧な細工を施した作品を作ることが出来ます。
ところが陶器はほぼ100度までに収縮(焼き固まる)してしまいます。ですからガラスと陶器を融合させるということは、この相反する性質のせいで割れてしまうのです。
この大きな課題を乗り越えて世界に通用する美術工芸品として発展させたのが、金子晴彦氏が作家をつとめる石垣焼です。
ただし、この技法の成功率は限りなく低く、金子氏が制作を始めた1970年ごろは、200枚焼いた1尺皿の中から割れずに製品化できたものはわずか1枚だったといいます。
このエピソードを知るだけでも、いかにガラスと陶器の融合が難しいかということが分かるでしょう。
あのルーブル美術館に展示された石垣焼
ルーブル美術館といえば、世界的に認められた美術品が展示されている場所です。
そのルーブル美術館で行われた世界文化遺産展覧会へ、石垣焼が出展されました。これがいかに凄い事かを説明してみましょう。
石垣焼は確かに制作そのものが非常に難しい、高い技術を必要とする陶器です。
ただ、この時同じく出品された作品というのが、人間国宝や現代の名工たちの作品や歴史的価値の高い城の修復技術に関するものなど、各界の最高峰の作品ばかり!
これを知れば、石垣焼がルーブル美術館で展示されたということがいかに凄い事かわかるでしょう。
2012年ミス・インターナショナル世界大会の副賞にもなった
2012年に沖縄県那覇市でミス・インターナル世界大会が行われました。
大会の表彰式において受賞者に副賞として記念品が贈られるのですが、この時に選ばれたのが石垣焼の優勝楯とハッピーブルーペンダント・エクセレント。
しかもこのハッピーブルーペンダントは、大会終了後各国の代表者によって世界中で披露されました。
このことは、石垣焼を世界的に有名にする一つの要因になったことでしょう。
体験陶芸教室で世界に一つの石垣焼に挑戦できる
石垣焼窯元では、体験陶芸教室が開かれています。
ここでは1人から参加の受付が出来ます。
年中無休となっていますが、受付は9時から16時までとなっています。詳しくは石垣焼窯元へ直接お問い合わせくださいね。
- 住所:沖縄県石垣市名蔵1356-71
- 電話:0980-88-8722
- FAX:0980-88-8180
- URL:http://ishigaki-yaki.com/