沖縄県内には、全国にある米軍基地(アメリカ軍基地)の約7割が集中しています。沖縄の米軍基地は、戦後急増しました。そんな沖縄ですが、今では生まれたときから米軍基地が身近にある若い世代が増え、県内の米軍基地事情を知らない県民も多いです。そこで、さまざまな角度から、沖縄県内にある米軍基地を紹介します。
沖縄に大量の米軍基地を作った3つの方法
戦争を体験した世代との交流がない 戦後生まれの若い沖縄県民には、「県内の米軍基地は、終戦後、米軍に強制的に奪われて作られた」とイメージを持つ人がいます。
このイメージは間違いではありませんが、100点満点の答えではありません。
そもそも、沖縄に米軍基地を作る方法は3つあるのです。
その➀ 強制的に土地を接取して作った
1つ目は、県民を住んでいる地域から遠く離れた収容所に送り、その間に強制的に土地を接取して作る方法です。
遠く離れた収容所に入れられた住民は、自分の土地や家がどうなっているか知る方法がありません。
その間に米軍は、住民の反対を聞くことなく、条件の良い場所に基地を作ります。
この方法で作られたのが、世界一危険な基地といわれる「普天間基地(正式名称:普天間飛行場)」です。
その➁ 「土地収用令」を使い、土地を接取して作った
2つ目は、終戦後に施行された「土地収用令」を使って、米軍が土地を接取して作る方法です。
土地収用令は、簡単にいうと「米軍が必要だと思えば、地主の許可なく土地を接取してよい」ということです。
この方法で米軍基地が作られた主な場所が、那覇市の銘苅地区・具志地区、宜野湾市伊佐浜、伊江村真謝の米軍基地です。(現在、返還済みの土地もあります)
その➂ 日本政府による埋め立てによって作った
3つ目は、日本政府による埋め立てによって作る方法です。
この方法による米軍基地建設が、現在進行形で問題となっている作り方です。
埋め立てて新たに基地を作る方法は、普天間基地の代替施設の建設のために生まれた方法です。
名護市辺野古の大浦湾沖に建設されている基地がその代表例です。
この方法は米軍による強制接取ではなく、日本政府による強制接取という点が、他の米軍基地の作り方と大きく異なります。
米軍基地によって所属する部隊が違う
米軍基地は沖縄県内に多数ありますが、それぞれの基地に配属される軍人は、所属部隊が決まっています。
なぜなら県内の米軍基地は、所属する部隊によって配属基地が決まっているからです。
海兵隊所属の主な米軍基地
- キャンプシュワブ(名護市、宜野座村)
- キャンプハンセン(金武町)
- キャンプコートニー(うるま市)
- キャンプマクトリアス(うるま市)
- キャンプレスター(別名キャンプ桑江/北谷町)
- キャンプフォスター(別名:キャンプ瑞慶覧/北谷町、中城村、沖縄市、うるま市、宜野湾市)
- 普天間飛行場(宜野湾市)
- キャンプキンザー(別名:牧港補給地区)
- 津堅島訓練場(うるま市)
- 浮原島訓練場(うるま市)
空軍所属の主な米軍基地
- 奥間レストセンター(国頭村)
- 八重岳通信所(本部町、名護市)
- 嘉手納弾薬庫地区(嘉手納町)
- 嘉手納飛行場(嘉手納町)
- 鳥島射爆撃場(久米鳥島)
- 出砂島射爆撃場(渡名喜村)
- 久米島射爆撃場(久米島町)
海軍所属の主な米軍基地
- 天願桟橋(うるま市)
- キャンプシールズ(沖縄市)
- 泡瀬通信施(別名:泡瀬飛行場/沖縄市)
- ホワイトビーチ地区(うるま市)
- 沖大東島射爆撃場(北大東村)
陸軍所属の主な米軍基地
- トリイステーション(別名:トリイ通信施設/読谷村)
- 那覇港湾施設(那覇市)
沖縄の米軍基地では県民が参加できる人気イベントが多い
若い世代の沖縄県民にとって米軍基地は、人気のイベントが定期的に行われるお出かけスポットでもあります。
もちろん基地の中に入るには、セキュリティチェックを受けなければいけません。
とはいえ「顔写真付きの身分証明書を提示すること」「手荷物に不審なものがないこと」「金属探知機のボディチェックで異常がないこと」の3つがクリアできれば、観光客でも米軍基地のイベントに参加できます。
米軍基地の中はアメリカ領ですので、イベント会場の中はアメリカそのものです。
米軍基地のイベントは沖縄県内で行われる大型イベントと、基本的な内容は変わりません。ステージでは外国人アーティストのパフォーマンスが行われますし、屋台もたくさん出ます。
もちろん米軍基地のイベントなので、全てはアメリカンスタイルです。子どもに人気のアトラクションも絶叫系・ワイルド系が主流ですし、アメリカが本場のハンバーガーもアメリカンサイズで出てきます。
このように沖縄の米軍基地イベントにいけば、自宅やホテルから車に乗ったままアメリカ旅行が体験できます。
そんな人気のイベントが開催されるおすすめの米軍基地が、キャンプキンザー(浦添市)、キャンプコートニー(うるま市)、キャンプフォスターの3ヶ所です。
キャンプキンザーは、那覇市に隣接する浦添市にあるので、アクセスの良さから人気があります。
キャンプコートニーは、クリスマスシーズンのイベントが人気です。事前にチケットを購入すれば、サンタクロースとツーショット写真が撮れます。
キャンプフォスターは、7月のイベントが有名です。例年独立記念日に行われるイベントなので、フィナーレには花火が打ち上げられます。
米軍基地のゲート近くには人気のグルメスポットが多い
米軍基地のゲート周辺には、沖縄県民にも人気のグルメスポットが多いです。その傾向は、都心から離れた地方に多く見られます。
沖縄のソウルフード・タコライスの発祥地は、金武町にあるキャンプハンセンゲート前です。
キャンプハンセンのゲート前は、今でも米軍基地関係者向けの飲食店やレストランが多く並んでいます。またタコライスの聖地巡礼として、沖縄県民や観光客の姿も多いです。
基地内のレストランも人気!
基地内のレストランも人気店が多いです。
ただし、通常はホスト(基地に招待してくれる知人や身内)がいなければ、一般人が基地内のレストランに入ることはできません。
ところが嘉手納町にある「シーサイド」は、嘉手納基地の敷地内にあるレストランなのに、ホストなしの一般人でも利用ができます。
海を見ながらゆっくりと食事ができる「シーサイド」は、平日でも待ち時間ができるほどです。
客の多くは米軍基地関係者ですが、意外なことに沖縄県民だけでなく県外からの観光客の利用も目立ちます。
- 住所:〒904-0200 沖縄県中頭郡嘉手納町 嘉手納マリーナ内
- 電話:(036) 868-2213
- 営業時間:
- 火~木曜 11:00-21:00
- 金曜日 11:00-22:00
- 土曜日 9:00-22:00
- 日曜日 9:00-21:00
- 定休日:月曜日
- 支払い方法:米ドルもしくはVISA・Mastercard
- チップ:必要
- 言語:日本語が話せるスタッフもいるようです
- URL:https://kadenafss.com/seaside/
円での支払いができないお店なので、「シーサイド」を利用する際は米ドルまたはクレジットカードを持参するようにしてくださいね!
また、チップの支払いも忘れないよう注意してくださいね!
【まとめ】県内の米軍基地を知る方法はいろいろある
「沖縄の米軍基地」というと、どうしても反対論・賛成論ができます。
若い世代の沖縄県民も、いつかはこの問題に向き合うでしょう。
ただし生まれたときから基地の街に暮らしてきた世代だからこそ、基地周辺のグルメやイベントを通して沖縄の米軍基地を知るのも、一つの方法ではないでしょうか?
大小関係なく見てみると、なんと24か所もの米軍施設が沖縄に存在しているんです。
もしかすると、聞いたことのない基地名もあったのではないでしょうか?