沖縄県では海のレジャーの危険について積極的に情報を公開していますが、毎年のように死者が出ています。中でも資格がなくても一人で沖縄の海を満喫できるシュノーケリングは、残念ながら毎年のように死者が出る危険なレジャーの1つです。では気軽に楽しめるはずの沖縄・シュノーケリングはどうして危険なのでしょうか?
こんなにある!沖縄で起きたシュノーケリング中の死亡事故
ホームセンターやビーチ近くにあるコンビニへ行けば簡単に必要な道具が簡単に手に入るシュノーケリングは、沖縄のマリンレジャーの中でも手軽さが人気のアクティビティです。
泳げなくても専用アイテムを使えば沖縄の海に生息する珍しい魚が身近に見られますし、透明度が高い沖縄の海なので、浅瀬でもさまざまな種類の魚と触れ合えます。
ところが…そんな沖縄では毎年平均20名が、シュノーケリング中の事故によって命を落としているのをご存じでしょうか?残念なことに、その殆どが旅行者なんです。
「年々減少傾向にある」とは言い切れない現状
警察庁では毎年「水難事故統計」を公表しています。
その中にはシュノーケリング以外で死亡した人の人数も公表されていますが、驚きなのは「子供でも楽しめるマリンレジャー」として人気のシュノーケリングによる死者数です。
直近6年間の統計結果を見ると年間平均20名が死亡しているのですが、最も死者数が多かった平成27年(2015年)には、シュノーケリング中の海難事故により30名が命を失っています。
令和2年(2020年)は過去6年の中で最も少ない14名ですが、令和2年といえば新型コロナの影響で急激に観光客数が減少した年にあたります。にもかかわらず、1年間に14名がシュノーケリング中の事故で死亡したと考えると、非常に恐ろしい事態といえるのではないでしょうか?
なぜ安全なはずのシュノーケリングで死者が多いの?
泳げなくても呼吸をサポートしてくれるシュノーケルがついているため、シュノーケリングは普段泳ぐことがない人や泳ぎに自信がない人でも楽しめるところが人気のマリンレジャーです。
しかもフィンを脚に装着して海に入るため、簡単に遠くまで泳げることもシュノーケリングが人気の理由といえるでしょう。
ところがこの2つがあるために、シュノーケリングで死亡事故が起きやすいともいえます。
シュノーケルによって水死する例がとても多い
シュノーケルは海面に浮かびながらでも呼吸ができる便利な道具です。ですが、多くの方は海の中の景色に集中していることで、危険な大波が近づいていることに気づかないことがよくあります。
特に逆止弁がついていないシュノーケルを使用していると、シュノーケルに入り込んだ海水が直接気道に入り込み、大量の海水を飲んだ結果、水死することがあるのです。
高齢者の死者が意外と多い
沖縄でシュノーケリングによる死亡者の年齢を見てみると、20~30代の若い世代よりも60~70台のシルバー世代の死亡者が多いことが気になります。
かつてのシルバー世代は「日頃運動することがほとんどない」「定年後の時間をゆっくりと自宅で過ごす」という人が多く、マリンレジャーにチャレンジする人は今よりも圧倒的に少ない傾向がありました。
ところが近年のシルバー世代は「アクティブシニア」と呼ばれ、普段からジムや水泳で体を動かしたり、定年を機にダイビングの資格を取得したりする人が多いです。
そのため「自分は大丈夫」「普段体を動かしているから心配ない」という過信が、かつてのシルバー世代よりも生まれやすい環境があります。
また透明度の高さが特徴の沖縄の海ですから、普段は慎重に行動する人でも・・・つい夢中になって周囲の状況が分からなくなることも多いです。
なので、普段から体力に自信のあるシルバー世代でも「沖縄の海は用心しよう」という心構えで海に入る事が死亡事故を防ぐポイントだといえます。
穴場情報に惑わされるな!
沖縄は、沖縄島のほかにも多数の有人・無人島が連なる地域です。
空港や港のすぐそばに海水浴場がありますし、リゾートホテルが立ち並ぶ地域はいずれもマリンレジャーが人気の海岸沿いにあります。このような公共性の高いビーチは有料制ですが、ビーチには監視員が常駐しているため緊急事態でもすぐに対応が可能です。
ところが透明度の高い沖縄の海を見てしまうと、「もっと人がいない場所へ」「誰もいない穴場のビーチへ」「お金のかからない無料ビーチへ」という気持ちが高まります。
その気持ちは十分によくわかりますが、監視員がいない穴場ビーチは危険生物や危険な水域が近くにあるのが一般的です。
【まとめ】楽しい旅行を悲しい思い出にしない為に…
沖縄の海は、綺麗であると同時に非常に危険な場所でもあります。ですから安全にシュノーケリングを楽しみたいのであれば、安易に「沖縄の穴場ビーチ」というキーワードに騙されないでください。
同じ海域であっても天候や潮の流れによって大きく変化する沖縄の海は、「これぐらいなら大丈夫だろう」という甘い気持ちが命取りになります。
楽しいはずの旅行が悲しい思い出になってしまわないよう、どうしてもシュノーケリングを楽しみたいのであれば、監視員のいるビーチを選ぶ、もしくはプロが同行するアクティビティツアーに参加する事をおすすめします。
穴場ビーチと呼ばれる場所は、大概 辺鄙(へんぴ)な場所にあります。
もしものことがあった際、病院への搬送にも時間を要してしまう事も考えられますので、絶対に監視員がおり安全ネットが設置されているビーチを選ぶようにしましょう。