沖縄県内で唯一物を販売していない道の駅【喜納番所】をご紹介!

道の駅というと地元の特産品や農産物の販売が目玉ですが、読谷村にある道の駅・喜納番所は物を一切売りません。物を売らないのに訪れる人がいる道の駅にはどんな魅力があるのでしょうか?

目次 ページガイド

喜納番所は琉球王国時代の宿場町だった

喜納番所

喜納番所は、読谷村にある道の駅です。

嘉手納ロータリーから国道58号線を名護向けに進むと道沿いに看板が見えてきます。ただし建物は国道を背に建てられているので、喜納番所に行くには国道から集落に向かう道を進まなければいけません。

国道から一本裏道に入ると途端に周りの風景が変わります。緑に囲まれたのどかな田舎道を進むと、趣のある平屋造りの建物が見えてきます。これが喜納番所です。

喜納番所を正面に見ると、中央に「喜納番所」と書かれた石碑が置かれているのですが、両サイドの石柱には「読谷村役場」の文字が見えます。

実は喜納番所は時代によってさまざまな役割が課せられた建物で、一時は読谷村の村役場として使われていた時代もあるのです。

そもそも喜納番所がある喜納集落は、琉球王国時代の宿場町でした。

番所の目の前を通る道は宿道(しゅくみち)であり、首里とヤンバルを結ぶ重要な交通網でした。

さらに番所は現在の役所にあたるものでしたから、喜納番所は政治・行政の中心地としての役割もあったのです。

物を売らない道の駅で観光スポットを教えてもらう

喜納番所の模型

物を売らない道の駅というだけあって、施設の中に入っても販売されているものは何もありません。

読谷村に関する観光スポットを紹介する資料やポスターなどが飾られていますが、ゴチャゴチャした感じがなく落ち着いた雰囲気があります。

派手な展示物はないのですが、手作りのジオラマや手書きのコメントがびっしりと詰まった巨大な観光マップなどが飾られています。

施設の女性スタッフも程よい距離感で接してくれるので、一人で訪れても居心地の良さを感じます。

そんな喜納番所のスタッフから読谷村のおすすめの観光スポットを紹介してもらいました。

喜納観音堂

まず喜納番所から徒歩5分の場所にある「喜納観音堂」。

喜納観音堂

こちらにはかつて本島北部の金武観音堂から分霊された千手観音像が祀られていました。

沖縄戦によって行方不明になってしまったため、現在は作り直された仏像が祀られています。

今でもこの場所は地元の人の祈りの場所になっていて、訪れたこの日も熱心に神様に手を合わせる地元住民の姿がありました。

喜納観音堂

喜納観音堂の隣に建てられている祠が「土帝君(トゥーティークー)」です。

ここで祀られている神様は農業の男神さまで、祠の中には鍬と握り飯のようなものを手に持った翁の像がありました。

喜納観音堂

翁の像も戦後行方不明になってしまったため、現在祀られているのは沖縄の像の台座部分のみです。

それでもこの場所は村民にとってとても大事な場所で、土帝君を祀ったお祭りなども行われています。

喜納観音堂・土帝君

住所
〒904-0302 沖縄県中頭郡読谷村喜名
見学時間
自由見学

番前池

次は「番前池」。

番前池

現在の喜納番所の入口正面には、喜納集落の住民たちが集まる人気のスーパーがあります。

野菜や日用品、お総菜にお弁当、その他生活用品などがすべてそろうため、スーパーの開店時間中は店の前にひっきりなしに車が止まります。

それだけにこの場所が最もにぎわっている印象があるのですが、このスーパーの裏側には、かつて人々が集まりにぎわいを見せていた場所があります。それが番前池です。

番前池はとても大きな池で、農作業を終えた馬を洗う人もいれば、野菜を洗う主婦の姿もありました。その傍らで子供たちが水遊びをしていたので、集落で最も人が集まる場所でした。

現在、番前池は埋められてしまい、池があったことを示す小さな石碑のみがひっそりと建てられています。

ちなみに池があった場所には現在「喜納屋外ステージ」が建てられていて、今でも集落の人々の集まる場所となっています。

喜納屋外ステージ

当時の番前池を知っている集落の人も多く、私が訪れた時に広場の掃き掃除をしていたご婦人もその一人でした。

ご婦人の話では広場のすぐわきに通る広い道路は池があった当時から姿を変えずに残っているのだといい、「当時のこの場所はとても賑わっていたのよ」と話してくれました。

番前池跡(喜納公民館近く)

住所
〒904-0302 沖縄県中頭郡読谷村喜名
見学時間
自由見学

※ただし集落が管理する施設内にあるので、見学の際には配慮してください。

【まとめ】物を売らない道の駅は情報を教えてくれる場所だった

喜名番所

道の駅の名物である物販を行わない喜納番所は、ガイドブックには載らない読谷村の歴史や風景を教えてくれる場所でした。

のんびりとした雰囲気が漂う喜納番所は、お金で物を売る代わりに懐かしい思い出と村の記憶を分けてくれます。

そんな心温まる道の駅にあなたも足を運んでみてはいかがですか?

喜納番所 詳細

  • 住所:〒904-0302 沖縄県中頭郡読谷村喜名1−2
  • 098-958-2944
  • 開館時間:9:00~18:00
  • 休館日:年末年始(12月29日~1月3日)
  • 駐車台数:39台有り
  • トイレ:障害者用トイレ有
  • URL:https://www.vill.yomitan.okinawa.jp/