豆腐作りで必ず出る「おから」の処分に頭を悩ませていることを知った沖縄の学生が、おからを使った「おからスプーン」を考案しました。そのおからスプーンの評判が素晴らしく、注文もすでに5000本以上きているといいます。そこで話題のおからスプーンを、商品開発の裏側と併せてご紹介しましょう。
沖縄の学生が考案したおからスプーンとは?
おからスプーンは、長さ10cm、幅約2.5cmのミニスプーンです。
おからを原材料に使用していますが、「おからのみを使ったスプーン」ではなく「おからを原材料に加えたスプーン型クッキー」で、硬さも充分にある食べられるスプーンとなっています。
味や食感は?
おからというとパサパサしたイメージがありますが、沖縄の学生が考案したおからスプーンはクッキー生地におからを練り込んでいるので、味も食感もクッキーにそっくりです。
見た目は木製スプーンにそっくりですし、おから特有のにおいも気になりません。
スプーンとして使うのに十分な硬さはありますが、口の中に入れると子供でも簡単に噛めるほど柔らかいので、原材料におからが使われているといわれなければおからスプーンであることが分からないかもしれません。
食べられるおからスプーンは栄養満点
そもそもおからには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維はお腹の調子を整えてくれる大事な栄誉成分ですが、普段の食事で必要な分をとることはなかなか難しいです。
その点おからスプーンには、食物繊維の含有量が豊富なごぼうの約2倍の量が含まれています。
しかも沖縄家庭料理に欠かせない豆腐のたんぱく質もおからスプーンの方が多いので、食の細い子供の栄養補給としてもおすすめです。
なぜ沖縄の学生はおからスプーンを考案した?
栄養満点で味もおいしいと評判の食べられるスプーン「おからスプーン」ですが、そもそもなぜ沖縄の学生はおからからスプーンを作ることを思いついたのでしょうか?
実はそこには豆腐店が抱える深刻なある問題が関係していました。
最初からおからスプーンを作るつもりではなかった
豆腐はおから作りの過程で必ずできるものです。豆腐は沖縄家庭料理で欠かせない食材ですし、沖縄県民が1人あたり年間消費する豆腐の量は29.8丁というデータがあります。
ところが豆腐を作ると同時にできる「おから」は消費率が低く、食品として市場に出回るのはおからの約1%程度で、ほとんどは飼料・肥料として使われています。
それでも消費ができないおからが大量にあり、国内では1年間に約6万トンものおからが使われることなく廃棄処分されています。
廃棄処分となれば当然費用が掛かりますから、豆腐店にとっては頭の痛い問題です。
そこに目を付けたのが沖縄の学生でしたが、初めからおからで食べられるスプーンを作る計画ではありませんでした。
当初はSNSを使っておからの処分に困る豆腐店と、おからを飼料・肥料にしたい農家をマッチングするシステムの構築を模索していました。
ただし・・おからを求める農家の数も年々減少しており、持続可能な問題解決のためには別の方法が必要だと考えるようになります。
そこでおからを使った新たな商品づくりに取り組んだことが、食べられるスプーン「おからスプーン」誕生の原点だったのです。
愛知の食品加工企業とのコラボが商品化の決め手
おからを使ったスプーン作りを独自で始めたものの、実際に形にするのは難しいことでした。
それでも形にするためにさまざまな分野をリサーチしたところ、食材をクッキー生地に練り込んだスプーン型クッキーを作る愛知の食品加工企業・株式会社勤労食に出会います。
勤労食では食べられるスプーン「パクーン」を商品化しており、すでにさまざまな分野で注目されている人気商品です。
そこで沖縄の学生は愛知企業・勤労食とコラボし、おからを練り込んだ食べられるスプーンの製品化に成功します。
おからスプーンで期待される効果とは?
おからを使った食べられるスプーン「おからスプーン」を使うことで、「おから=廃棄処分」の構図に変化が起こることは期待されることでしょう。
ただ、それ以外にもおからスプーンで期待される効果があります。
- 使い捨てプラスチックの削減
- おからスプーンは飲食店で使われるプラスチックスプーンの代用として使えます。プラスチックスプーンの消費量が減るということは、環境保護にもつながるでしょう。
- 環境意識を高める
- 本来費用を払って処分をするしかないおからに新たな価値をつけることによって、環境保護に対する意識を持つきっかけになるでしょう。
- 食育効果
- 栄養豊富なおからですが、子どもが喜んで食べる食材とは言えません。ただし、スプーン型クッキーとして実際に食べてみれば、自然とおからに興味を持つようになるでしょう。
おからスプーン取り扱い店舗は?
2022年2月24日現在、おからスプーンを取り扱っている(提供している)店舗は以下の通りとなっています。
- 【糸満市】カカオ専門店Peace Cacao Okinawa
- 住所:沖縄県島尻郡八重瀬町具志頭659 南の駅やえせ
- 営業時間:12:30~16:30
- 定休日:不定休
- 【八重瀬町】ナチュラルファームHalever(ハルエバー)
- 住所:沖縄県島尻郡八重瀬町具志頭659 南の駅やえせ
- 営業時間:11:30~19:00
- 定休日:不定休
- 【沖縄市】コザアイス
- 住所:沖縄県沖縄市中央1-16-12
- 営業時間:12:00-18:00
- 定休日:月曜日~水曜日
今後も取り扱い店舗は増えていく事が予想されます。
「おからスプーンを試してみたい」という方は、ぜひ上の店舗へ足を運んでみてくださいね!
【まとめ】おからスプーンの今後に期待!
沖縄の学生の想いと愛知にある企業の理念がマッチしたことによって商品化されたおからスプーンは、発売と同時に多くの注文を受けています。
そんなおからスプーンは沖縄に数多くある豆腐店の未来だけでなく、持続可能な社会づくりにも寄与していくことでしょう。
さらにおからを使った新たな商品の開発・販売を計画しているといいますから、今後沖縄の学生が発信するおから商品にも期待したいところです。
おからスプーン、コンビニでも取り扱ってもらえたらいいんだけどなぁ・・・