まだあまり知られていないようですが、沖縄県で生まれ育った女性は自分のことを名前で呼ぶ女性が多くいます。男性は「俺」や「僕」へと自然に変わっていくのですが、女性は成人しても、自分の事を名前で呼ぶ方が多くいらっしゃるんです。なぜ自分のことを「私」と呼ばないのかをお話ししたいと思います。
沖縄の女性は自分の事を名前で呼ぶ!
沖縄では当たり前のことですが、二十歳を過ぎた成人女性でも、自分のことを下の名前で呼ぶ方が多くいらっしゃいます。沖縄の女性、皆が皆そうではないけれど結構年齢が上の方でも自分の事を名前で呼び続けている方もいます。
沖縄では当たり前のように思えるのですが、本土の型からすると「え?」「下の名前?」「ぶりっこしてるの?」と不思議に思ってしまいますよね。そこで、今回は沖縄の女性が自分のことを名前で呼ぶ理由などをご紹介します。
沖縄の女の子は、なぜ「私」と言わないの?
生まれも育ちも沖縄で、両親もウチナンチュ、ご近所さん達もウチナンチュばかり・・・という中で育った子は、なぜか高確率で自分を下の名前で呼ぶようになります。
なぜそうなったのかは知りませんが「自分のことを私と呼ぶ子=ぶりっこ」という認識が沖縄の女の子たちの中にあり、その結果・・・大人になるまで「私」と言えない状況になってしまいます。
アルバイトを始めたり、就職すると「仕事などでは、自分のことを私といわなくちゃいけないんだ!」という事を認識し、「私」と「名前呼び」を使い分けるようになります。
県外の方と触れ合う機会が増えるにつれて、本土では「自分を名前で呼ぶ子=ぶりっこ」だという、沖縄と真逆の状態に気が付くんです。
気が付いたところで「今更・・・自分自身のことを「私」と呼ぶのが、どうしても気恥ずかしい・・・」という子が多く、沖縄の女の子たちは「私」よりも「自分」という言葉を選んで使う子がとても多いんですよ!
筆者自身もごく最近まで自分の事を名前で呼んでいましたが、数年前に「もう大人なんだし、これではいけない」と思い、一生懸命「私」というように直しました。小さい頃から呼んでいたので直すのに一苦労したものです。
TPOをわきまえて使い分けている
職場や目上の人や、あまり親しくない相手と会話するときは「自分」や「うち」「私」などを使い、家族や友人などの親しい間柄の人前では自分を名前で呼びます。これは沖縄の女性あるあるなのではないでしょうか。
「私」や「自分」という言葉を使う場所・メンバーと、名前で読んでもいい場所やメンバーなど、TPOをわきまえて使い分けているんですよ!
相手を呼ぶときも下の名前で呼ぶ
沖縄の人が下の名前で呼ぶのは自分だけに限ったことではありません。友達のことも下の名前やニックネームで呼ぶのが沖縄です。名字で呼んだり、名前にサンや君などをつけるなんて沖縄らしくありません。
ですが、近年は本土からの移住者が多く、学校側が移住者の方(保護者)から注意を受けたようで、幼稚園や小学校でも先生でさえ生徒を「さん」付けで呼び、生徒同士も「さん」付けで呼び合うように指導されるようになってきました。こういうのを見ると・・・沖縄らしさが失われていく感じがして、とても寂しい気持ちになります。
筆者がまだ学生の頃までは普通に先生も生徒のことを下の名前で呼び、生徒同士は当たり前に下の名前、もしくは、ニックネームや愛称で呼び合うのが当たり前でした。それは、同じ名字が多い事も関係していたと思います。
上で、相手の事をニックネームで呼ぶと言いましたが、それは不快になるようなあだ名などではありません。 沖縄あるあるの一つですが、相手の名前を伸ばして呼ぶのが一般的なんです。それは男性を呼ぶ時も例外ではありません。例えば・・・
- ともはる → と~も~
- えりこ → え~り~(または、えりこぉ~)
- まさあき → ま~さ~
- まなみ → ま~み~(または、まなみぃ~)
など、小さい頃から親や兄弟、友人、近所の方などから上のような愛称・ニックネームで呼ばれて育つので、大人になってもそれが当たり前です。
「自分」「うち」以外のレパートリーも!?
自分のことを名前や私というのではなく、自分やうちと言う人は多いのですが、たまにちょっと変わった呼び方をしている人がいるのでご紹介します。
- わて
- おいら
- わい
- ぼくちん
など、稀に自分のことを上記のような呼び方をしている方がいて、一瞬耳を疑ってしまうこともあります。職場などで「ぼくちん」なんて言っている女の子を見かける事はありませんので、この子たちもTPOをわきまえて、呼び名を変えているんだと思います。
自分のことを名前で呼ぶ沖縄の人は、決してぶりっ子しているわけでもなく、馴れ馴れしくしているわけではないので、驚かないでくださいね。いくつになっても自分のことを名前で呼べるなんて、沖縄のいいところの1つだと思います。
沖縄から県外に嫁いだり、就職で県外へ行った方が、沖縄へ里帰りをした際に・・・「私は~」と言うようになっているのを見ると「染まったな」なんて思ってしまいます。(笑)